【2020 Jリーグ プレシーズンマッチ】京都サンガF.C. 2-3 セレッソ大阪

京都サンガF.C. 2-3 セレッソ大阪
日時:2020年2月9日(日) 14:00KO
会場:京都府立京都スタジアム “サンガスタジアム by KYOCERA”(曇ときどき雪/1万7938人)
主審:松尾一
12′-C大阪/坂元達裕
26’-京都/庄司悦大(右足←ウタカ)
64′-C大阪/奥埜博亮
90+2′-C大阪/都倉賢
90+5’-京都/ピーター・マドゥアブチ・ウタカ(左足)

■京都サンガF.C.(3-4-2-1)
GK21:清水圭介
DF46:森脇良太(73′-MF8:荒木大吾)
DF23:ヨルディ・バイス
DF16:安藤淳
MF2:飯田貴敬(57′-DF30:石櫃洋祐)
MF7:ヘナン・カルバーリョ・モタ “レナン・モッタ”(73′-MF29:中野克哉)
MF10:庄司悦大
MF5:黒木恭平
MF14:中川風希(81′-MF11:曽根田穣)
MF13:宮吉拓実(46′-FW20:李忠成)
FW9:ピーター・マドゥアブチ・ウタカ

■セレッソ大阪(4-2-2-2)
GK27:アン・ジュンス
DF2:松田陸
DF3:木本恭生
DF22:マテイ・ヨニッチ
DF14:丸橋祐介
MF6:レアンドロ・ルイス・デサバト
MF5:藤田直之
MF17:坂元達裕
MF10:清武弘嗣(46’-FW8:柿谷曜一朗)
FW25:奥埜博亮(83’-FW9:都倉賢)
FW20:ブルーノ・ペレイラ・メンデス

「ポジショナル原理主義」から現実路線へ

京都サンガ2020シーズン、最初のPSM。
いや、何より!
夢の専スタ・SSBK=サンガスタジアム by KYOCERAのこけら落とし!
柱谷幸一氏の「京都にサッカー専用スタジアムを作りましょう〜」から幾年月。
「うちのおかんがね、今週行くスタジアムがあるんやけど、その名前をちょっと忘れたらしくてね」「今週行くスタジアムの名前忘れてまうて、どうなってんねんそれ。ほならね、俺がおかんが行くスタ、一緒に考えてあげるから、どんな特徴あるか言ってみてよー」って、ミルクボーイがdisるネタが楽勝作れるぐらいのスタジアムでしたからね、西京極は…(遠い目)。
そこからウタカ選手いわく「プレミアリーグのようなスタジアム」にお引越しって、落差ががが!
完成には俺のふるさと納税もご活用いただき(笑)、どこかにネームプレートがあるハズ。
今度見に行きます。

さて、そんなSSBK初戦、試合結果は2-3。
J1・セレッソ大阪相手に惜敗でした。
しかし、今は結果についてうんぬんする時期ではない。
内容、それが一番大事!MANブラザーズバンド(not夜の本気ダンス)。
なんですが…、内容、特に連携面・戦術面はまだ発展途上かな〜と。
とはいえ、個の能力という面では、昨シーズン以上だと確かに感じられた。
特にバイス、ウタカの両外国籍選手は大きな武器になりそうだな!

時を戻して、昨シーズンの開幕当初。
京都は「ポジショナルプレー」をチームに浸透させるべく、5レーンでの選手配置とグラウンダーでのパス回しを徹底していた。
現youtuber・中田一三氏があとから述懐していたところによれば、あえてロングボール、ハイボールは蹴らせないようにしていたらしい。

そして、今季のサンガ。
指揮官も変わり、多少モデルチェンジが図られていたように感じた。
新監督の實好氏は「3-4-3、4-3-3を併用する」と公言している。
3-4-3、4-3-3と言えば、昨シーズンの京都も4-3-3で開幕、途中3バックを試行錯誤し、結局4-3-3で落ち着いた、という経緯があるよね。
でも、昨シーズンの3トップはワイドに開いて「相手をピン留め」する役割があった。
相手ディフェンスラインの感覚を広げ、その間をインサイドのMF、およびインナーラップしてくるSBが狙う――という明確な意図が隠れていたのだ。

対して、きょうの“實好サンガ”はウタカの1トップに、ストライカーの宮吉、ゲームメーカーの中川が2シャドーを組むという3トップ。
ワイドに張る、というポジショニングではなかった。
サイドの攻略はウイングバックの2人が担う形。
そして、昨シーズンは金久保や福岡が入ることが多かったインサイドMFがシャドーによって姿を消し、庄司&モッタがWボランチで低い位置から攻撃に絡むというスタイルに変わった。
となれば、選手配置的に昨シーズンよりは、やや後ろに重心を置いた格好になる。
実際、きょうのゲームではマイボールになっても、ウタカが前線に孤立するシーンが多く見られた。
もう少しシャドーの2人が早くフォローに入って、3人でポジションを入れ替えるような有機性を見せられればよいのだけど、まだこれから…という感じだろうか。

そんな中で、効いていたのがバイスのパスだ。
最終ラインからウタカめがけての長く高いボールがきわめて正確で、1本のフィードでチャンスをいくつも創出していた。
昨シーズンの「極端にロングフィードが少ないサッカー」とは違って、より現実的な選択肢を選ぶようになった、と言えるのかもしれない。
それも「ひとりでなんとかしてくれる」可能性をウタカから感じるからだろうし、実際きょうのゲームでも1アシスト、1ゴールという結果を残してくれた。
怪我さえなければ、おそらく今シーズンの前線の軸になるのは間違いない。

ただ一方で、大外のレーンにいる2選手と脇のレーンにいる選手のトライアングルパスで相手ハイプレスをいなすシーンがあったり、GKへのバックパスでビルドアップを再構築するシーンがあったり、去年っぽいポゼッションが見られたのも事実。
サイドから単純なクロス、というのも少なかったし。
昨シーズンがベースにありつつ、今季の選手層に合わせた戦い方を模索している、のかな。
目指すサッカーの方向性はブレてないと思う。

2→3失点と、同じ形の繰り返し

沖縄でのガンバ大阪との練習試合でも6失点を喫した守備陣。
そして、きょうも3失点。
柏戦の13失点→ガンバ戦6失点→セレッソ戦3失点。
われわれは確実に進化している!(笑)
…は冗談として、攻撃にそこまで多くの選手をかけているわけではないのに、さっくりゴールを奪われているのは大いに気になった。
最初の1失点は、クロスが流れてそのままゴールin。
2失点目、3失点目は同じ流れから。
セレッソの右SB・松田陸が、バイタルエリアで浮いていた柿谷へと斜めに早いグラウンダーパスを入れ、その柿谷がワンタッチで流して、FWがフリーになれたというもの。
柿谷選手の、“渋滞している”サッカーセンスが溢れた2局面だったけど、なんで柿谷をフリーにしちゃってんだろう?という疑問も残った。

ということで、守備もざっくり振り返ってみよう。
守備の仕方も、昨シーズンがベース。
ボールを奪われたときに自軍選手が近くに密集していればプレスに転じるけれど、そうでない場合は守備の形をセットすることを優先する。
ワントップのウタカは相手CBに厳しくプレッシャーはかけず、パスコースを切る動きをしていた。
だけど、京都が守備陣形を「5-4-1」にセットしても、最終ライン5枚、中盤4枚の2ラインの間でセレッソの選手がうまくパスを受け、そこからサイドに展開されることで、なかなかボールを奪えないでいた。
試合後の庄司選手のコメント。

――(立ち上がりから3バックの脇にボールを収められて相手にペースを握られていたが?) 個人的には、前の僕らもスライドしているので「もう少し後ろの選手が出てきてほしい」という気持ちもありますけど、後ろの選手は「もっと早くスライドしてほしい」と思っているかもしれない。そういう部分は、まだ(開幕まで)2週間あるので、しっかり映像を見て話し合っていくことが大事だと思います。でも、あそこにボールが入っていたからといって、そんなにチャンスを作られていたわけではないと思う。しっかりプレスバックして、(相手の攻撃を)遅らせたりはできていたと思う。でもあそこに入れられるとなかなかボールをとりづらいので、そこはしっかり修正していきたいポイントではあります。

https://www.sanga-fc.jp/game/1078/data.php

3バックにしていること、その3バックを森脇+バイス+安藤というパスがうまい選手で形成していることは、最終ラインからのビルドアップを重視しているからに違いない。
さらにそこに庄司、モッタのWボランチなんだから、「守備専」な選手が後ろにひとりもいないという恐ろしさ(笑)!
そう、逆にアンカーに守備的な選手がいれば、3バックの前=バイタルをケアしてくれて、2失点目、3失点目のような形は作られなかったのかもしれない。
…いや、作られてしまったのかもしれない(笑)。
2ラインの縦横へスライドするときの速さ、相手FWへのチャレンジ&カバーの関係形成など、守備は脆さがまだまだあるなという感じ。
今日の試合を見たJ2のチームは、そこ、きっと突いてくるでしょうからね。
今度は、清水選手の試合後コメント。

―― 「縦ズレ、横ズレをして対応していこう」ということはチームとして決めているけど、ラインの間にうまく(相手に)立たれたときにボランチが下がってくるのかとか、そういう細かいところはやっぱり詰めていきたいと思っています。

https://www.sanga-fc.jp/game/1078/data.php

出場選手含めて、きょうの試合がレギュラーシーズンのベースになるかどうかは分からない。
だけど、このまま開幕すると…。
安全圏でボールは持てどもシュートまで行けず、逆にカウンター気味に失点する――そんな光景を今季もまた目撃するという悪い予感がしてしまう。
いずれにせよ、攻守ともまだまだ課題は多い。
そんなことを実感させられたゲームだった。

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