【J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第6節】京都サンガF.C. 1-2 セレッソ大阪

京都サンガF.C. 1-2 セレッソ大阪
日時:2026年3月14日(土)14:03KO
会場:京都府立京都スタジアム”サンガS”(1万7,009人/曇り 10.7℃ 54%)
主審:中村太
48′-京都/マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス
71′-C大/田澪哉
90+6′-C大/田中駿汰

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK1:太田岳志
MF2:福田心之助
DF40:石田侑資(73′-DF34:エンリケ・ヂ・ソウザ・トレヴィザン)
DF50:鈴木義宜
DF22:須貝英大(73′-MF44:佐藤響)
MF25:ユン・ソンジュン
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
MF39:平戸太貴(79′-MF48:中野瑠馬)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス
FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”(13′-MF99:本田風智)(73′-MF7:奥川雅也)
FW18:松田天馬

■セレッソ大阪(4-2-1-3)
GK23:中村航輔
DF27:ディオン・クールズ
DF4:井上黎生人
DF44:畠中槙之輔(77′-DF3:田中隼人)
DF66:大畑歩夢(77′-DF6:登里享平)
MF10:田中駿汰
MF18:石渡ネルソン(62′-MF48:柴山昌也)
MF13:中島元彦
FW14:横山夢樹(70′-MF17:阪田澪哉)
FW9:櫻川ソロモン
FW11:チアゴ・エドゥアルド・ヂ・アンドラーヂ(70′-MF19:本間至恩)

支配率か、それ以外か

ホームで敗戦、2連敗(涙そうそう……)。
セレッソ大阪(※以下C大)は去年までのパスサッカーから一変、ポストプレイ&ドリブルでの突破を図るサッカーになっていたな〜。
そんな相手に対して、京都にとって現在の到達点と未完成さがあらわになったゲームだったと感じた。

支配率で上/期待値は下の理由は?

前節までの3バックから、開幕時のベースである4-1-2-3へと戻した京都。
前半は、曺さんが「セレッソさんのビルドアップに蓋をした」というように、前線から圧力をかけて、C大は最終ラインからの長いボールが多かった。

試合全体では、ボール保持率54%で京都が上。
ところが、ゴール期待値(xG)は京都2.08に対してC大2.64、シュート数16対14に対し枠内は2対6。
サッカー界でよく言われるように、ボールをただ持つだけではなく、より危険な位置に侵入できたかが大事だ。
その意味では、C大の勝利という結果はデータの通りだと言える。

京都は本数こそ打ったものの、ペナルティエリア外からや、相手DFのブロックに遭いやすい位置でのシュートが目立った。
シンプルに、決定機が少なかった。
「シュートの質や、そこを助ける動きが足りなかった」(曺さんの試合後コメントより)のは反省材料だ。
対するC大は、よりゴールに近い位置で、京都のDFをかわしてフィニッシュへ持ち込むことができており、特に後半は超決定機が頻発した。

もちろん、前半13分でのラファエル・エリアスの負傷退場は痛かった。
攻撃の基準点を早々に失った影響は大きかった。
エリアスがいれば、相手センターバックを引っ張って、2列目やサイドバックが入り込むスペースを作り出せる。
だがこの日は前線の大黒柱を失い、攻撃はいつも以上に外回りになった印象だ。

またこの日、フォーメーションを4-1-2-3に戻し、サイドバック裏が空くリスクが目立つことになった。
前線の枚数を揃えて圧力を強める反面、ボールを失ったあと京都のファーストディフェンスが破られたら、両サイドに大きなスペースが広がっている。
先制した後も京都はいつもどおり、サイドバックの上がりを自重させて逃げ切るのではなく、前へ前への姿勢を貫いた。

ただ、個々の運動量が落ちていく中で、京都は櫻川のポストプレーを許し、C大の素早く縦攻撃を何度も何度も許す。
「2026年バージョンのC大」がやりたいことを、存分にやらせてしまったいた。
そうした状況下で京都のセンターバックは、櫻川に対して前に潰しに出るのか、背後を消すのかという難しい判断を迫られる。
この日、加入後初先発の石田侑資が「競りに行くのか、背負わせて(時間をつくって)味方のサポートを待つのか、判断し対応すべきだった」と語ったのは、まさにそのジレンマを示しているだろう。
同点にされたシーンも、まさに石田vs櫻川のマッチアップで櫻川がうまく前を向いたところが基点になった。

“攻めきること”と“締めきること”

同点後、後半37分にはあ柴山が中央からの決定的なシュート(福田の神クリア!)。
その後も猛攻が続き、試合の潮目がC大へ傾いたことを示していた。
惜しむらくは、相手ペースのなったところで、選手交代や戦術交代によって早く手を打てなかったことだ。

終盤の展開について、本田は「先制した後のやることを全員で合わせる部分が曖昧になった」と振り返った。
中央で相手を崩せない攻撃、ハイラインの背後を管理しきれない守備、そして攻め切ることと守り切ることの間で揺れた終盤。
京都は2点目を取りに行く意志を持ちながら、攻撃の意志とリスク管理をうまく一本化できなかった。
エリアス不在もあって前線からのプレスがいつもよりやや緩かった中で、攻撃の終わり方と守備への接続にわずかなズレが生じ、それがC大の縦への鋭さを加速させてしまったのだ。

きょうの敗戦は、単なる取りこぼしではない。
冒頭にも書いたとおり、京都が目指しているサッカーの未完成さをあらわにした結果だった。
曺さんは「本気で優勝を目指す空気を選手全員が抱けなかった」と厳しい表情で語っている。
「唯一良かったのは、まだシーズンの3分の1が終わったところだということです。これがシーズンの3分の2が終わった試合でこのようになっていると、とてもじゃないけれど目標は達成できません。あと12試合ある中で、自分たちをもう一度見つめ直して、次に進まなきゃいけない」。

昨シーズンの好成績には、勢いに乗れた部分もあった。
本当に強いチームになるために——さらなる高みへ。
京都サンガの真の実力が見極められるのは、まさにここからだ。

【J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第5節】ファジアーノ岡山 1-0 京都サンガF.C.

ファジアーノ岡山 1-0 京都サンガF.C.
日時:2026年3月8日(日)12:55KO
会場:岡山県総合グラウンド陸上競技場 “桃太郎スタ”(1万4,089人/晴れ 10.3℃ 33%)
主審:高崎航地
84′-岡山/松本昌也

■ファジアーノ岡山(3-4-2-1)
GK1:レナート・モーザー
DF48:立田悠悟
DF18:田上大地
DF2:工藤孝太
MF51:白井康介
MF33:神谷優太(81′-MF5:小倉幸成)
MF41:宮本英治
MF88:山根永遠(65′-MF28:松本昌也)
FW27:木村太哉(74′-FW40:河野孝汰)
FW8:江坂任(81′-FW98:ウェリック・シウヴァ・ピント “ウェリックポポ”)
FW22:一美和成(65′-FW99:ルーカス・マルコス・メイレレス “ルカオ”)

■京都サンガF.C.(3-4-2-1)
GK1:太田岳志
DF22:須貝英大
DF50:鈴木義宜
DF34:エンリケ・ヂ・ソウザ・トレヴィザン
MF2:福田心之助
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス(88′-MF88:グスタヴォ・ボナット・バヘット)
MF25:ユン・ソンジュン(46′-MF39:平戸太貴)
MF44:佐藤響(63′-MF77:新井晴樹)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(88′-MF16:平岡大陽)
FW7:奥川雅也(63′-MF99:本田風智)
FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”

年度末多忙でブログ更新が追いつかず……。
簡単にメモ。

うまくいかなかった理由

岡山は攻撃時、ロングボールを多用。
しばしば基点を作られたことで全体が間延び、セカンドボール回収のための中盤密度を失った。
「特に後半、相手の勢いに少し押されてスリーラインをうまくつくれなかった」(曺さんのコメント)。

このことで、ボールを奪っても選手の距離感が広がり、パスコースの創出もうまくできなかった。
ピッチコンディションも悪く、ショートパスの速度もでなかった。
3-4-2-1フォーメーションの〝肝〟となる、インサイドハーフのボールキャリーも不発。
結果として前進ができず、特に後半にアバウトなロングボールが増えてしまった。

全体として、京都は「自分たちのサッカーを表現できない形にさせられた」格好だ。

広島戦ではうまくいったのに……

同じ3-4-2-1ミラーだった広島戦では、ここまで酷い内容ではなかった。
広島と違って、岡山は「京都のサッカーを壊しに来た」とでも言おうか。
広島戦では京都が「相手の前進を受け止めてから押し返す」形を作れたけれど、岡山戦ではロングボールとセカンド回収で全体を縦に伸ばされて、セカンドボール争いで劣勢に。

総じて、岡山の戦い方と同じ土俵で付き合ってしまった。
つまりは、岡山がこのゲームに関しては1枚上手だった、ということかな?

【J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド第4節】サンフレッチェ広島 1-2 京都サンガF.C.

サンフレッチェ広島 1-2 京都サンガF.C.
日時:2026年2月27日(金)19:03KO
会場:広島県広島サッカースタジアム “Eピース”(2万6,042人/雨 14.1℃ 90%)
主審:木村博之
39′-広島/荒木隼人
81′-京都/ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”(左足←マルコ・トゥーリオ)
90+3′-京都/エンリケ・ヂ・ソウザ・トレヴィザン(ヘッド←新井)

■サンフレッチェ広島(3-4-2-1)
GK1:大迫敬介
DF33:塩谷司
DF4:荒木隼人
DF37:キム・ジュソン
MF13:新井直人(60′-MF15:中野就斗)
MF3:山﨑大地(79′-MF35:中島洋太朗)
MF14:松本泰志
MF24:東俊希(46′-DF16:志知孝明)
FW9:ジャーメイン良(69′-MF6:川辺駿)
FW11:加藤陸次樹
FW17:木下康介(46′-FW10:鈴木章斗)

■京都サンガF.C.(3-4-2-1)
GK1:太田岳志
DF22:須貝英大(63′-MF39:平戸太貴)
DF50:鈴木義宜
DF34:エンリケ・ヂ・ソウザ・トレヴィザン
MF2:福田心之助
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
MF25:ユン・ソンジュン(74′-MF16:平岡大陽)
MF44:佐藤響(63′-MF77:新井晴樹)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(90+6′-FW93:長沢駿)
FW18:松田天馬(46′-MF7:奥川雅也)
FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”

思春の森を抜けて

試合開始から、3-4-3のミラーゲームでピッチを幅広く使っての真っ向勝負!
相手の運動量が落ちた60分過ぎ、最終ラインを1枚減らして、トゥーリオ&エリアスの2トップで縦に鋭い速攻勝負!!
さらに最後は、パワープレイで高さ勝負!!!
横、縦、高さと、3次元を使い分けて、みごと勝利を手繰り寄せた。
アウェイで見事に勝ち点3ゲット。
4節時点で首位…だと?(; ・`д・´)ゴクリ

「昨年にこのスタジアムで対戦したときは結果は引き分けでしたが、シュートは5倍打たれました。
相手コートに入った数も3.5倍くらいあって、かなり相手に押された試合でした」
と曺さんが振り返っていたように、昨季のアウェイ広島戦はパーフェクトに圧倒されていた。
一方、きょうはトータルでは広島優勢の試合だったのは否めないけど、結果的には勝ち切った。

昇格から4年間、着実に成長していることを実感、ライバルチームは阿鼻叫喚(韻踏合組合)。
というわけで、京都サンガさんは青臭いチームから、だいぶ〝大人〟なチームになってきたなぁ。

結果のためのハイプレス

前節でもきょうのゲームでも、ゴールは相手を崩してのものではない。
エリアスの同点ゴールも、広島のイージーなミスからだった。
しかし、そうしたミスが生まれたのも、京都が
①ハイインテンシティなプレイを続け、相手に「肉体的圧力」をかけ続けてた
②後半途中から戦い方を変えたりして、相手に「認知的圧力(cognitive pressure)」をかけ続けた
ことの帰結、なのかもしれない。

そして今季、京都のプレッシングは確実にバージョンアップしている。
思い返せば昇格1年目ごろは、後ろの布陣を気にしない〝全力全開プレス〟だった。
だが、ライバルも戦術的な対策を講じてくるようになり、ハイプレスはしばしば〝無効化〟されるようになった。
今季のプレッシングは、ボールホルダーに必ずチェックに行きながらも、相手のパスコースを限定し、ボールの奪いどころを定めるようなやり方。
いまの京都にとって、ハイプレスは「結果であって目的ではない」とでも言おうか。

この「守備時の誘導的ハイプレス」と、前節の戦い方で顕著だった「遅攻時のポジショニング」。
2つは表裏一体にも思え、曺さんがよく言及している「選手間の距離感」というキーワードにも繋がってくるのかな?

最後になるけど、きょうもユン・ソンジュンは素晴らしかった。
木下選手に対してボディコンタクトで負けてなかったし、相手選手が2人いる間をドリブルで抜けていったシーンは震えたね。
恐るべき18歳!

https://twitter.com/sangafc/status/2027364238935863423
https://twitter.com/sangafc/status/2027947413928104143

「あれで失点してたら切り抜かれるよ」(太田岳志)

【J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド第3節】京都サンガF.C. 2-0 アビスパ福岡

京都サンガF.C. 2-0 アビスパ福岡
日時:2026年2月22日(日)14:03KO
会場:京都府立京都スタジアム”サンガS”(1万5,322人/晴れ 19.9℃ 49%)
主審:清水勇人
32′-京都/ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”(右足)
77′-京都/マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(右足)

■京都サンガF.C.(3-4-2-1)
GK1:太田岳志
DF22:須貝英大
DF50:鈴木義宜
DF34:エンリケ・ヂ・ソウザ・トレヴィザン
MF2:福田心之助(90+5′-DF40:石田侑資)
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
MF25:ユン・ソンジュン(90+5′-MF32:齊藤未月)
MF44:佐藤響(90+5′-DF15:永田倖大)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(90+2′-MF77:新井晴樹)
FW18:松田天馬(78′-MF7:奥川雅也)
FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”

■アビスパ福岡(3-4-2-1)
GK24:小畑裕馬
DF5:上島拓巳
DF37:田代雅也
DF16:岡哲平
MF29:前嶋洋太(59′-DF33:山脇樺織)
MF8:奥野耕平(83′-FW27:道脇豊)
MF11:見木友哉
MF22:藤本一輝(69′-DF47:橋本悠)
FW18:佐藤颯之介(59′-FW25:北島祐二)
MF14:名古新太郎
FW9:シャハブ・ザヘディ(69′-FW7:碓井聖生)

さぁしっかり狙いを定めて いつものようにおやり

福岡の塚原真也さん、京都ユース出身なのかッ!
白髪まじりの髪と髭、スーツの着こなし——。
40歳とは思えない威厳があるね。

その塚原さん、試合後のフラッシュインタビューでは
「京都の3バックは正直予想してなかった」
と言っており、特に前半京都にペースを握られたことを悔やんでいた。

一方、曺さんは試合内容に手応えがあったのか、インタビューでいつもより饒舌だった。
発言の中で聞き逃せない点が、
「彼ら(福岡)の嫌がること、良さを出させないようにゲームを進められたので、“2026年バージョンのサンガ”が少し見せられた」
「フォーメーションを変えたのではなく、“立ち位置”を少し変えた
「選手がお互いの距離感を縮めながら、セカンドボールを回収し最短でゴールに向かってくれた」
の3点だろうか。

さて、きょうの試合で見せてくれた”2026年バージョンのサンガ”とは、いったいどんなものだろうか?
3つの解像度から見えたことを、ちょっとメモっておこう。

▼”2026年バージョンのサンガ(1)”=3バックという選択肢

いちばん荒い解像度でも分かるのは、3バックがオプションとして使えそうということだ。
昨シーズンの京都サンガは、高さがある選手を前線に置いてハイボールを放り込んでくる相手に苦戦することが多かった。
他ならぬ福岡にも、ロングボールを打ち込まれ続け、アディショナルタイムに2点取られ引き分けに持ち込まれたこともあった。
また、前節もオ・セフンに競り負けること、多々。

きょうの3バックの左右は、高さに定評のあるエンリケ・トレヴィザン、身長の割には空中戦に強い須貝。
おもにこの2人を競らせることで、シャハブ・ザヘディ相手に制空権を握ることに成功した。
また2枚のセンターハーフが、空中戦のこぼれ球をうまく回収することができていた。
真ん中に入った鈴木のラインコントロールで、最後までラインを高くキープ。

攻撃でも、ウイングバックが幅を取り、左右CBも加勢。
いい距離感と角度でボールを動かし、開幕戦と前節に比べて有機的にゴール前まで迫れていた。
ということで、対戦相手の戦い方に応じて、3バック、4バック、使い分けができそうな期待をさせてくれる出来だった。

▼”2026年バージョンのサンガ(2)”=宮本&原&福岡不在の戦い方

昨シーズンの京都サンガにおいて、最終ライン+アンカーの関係は特に良好だった。
宮本が最終ラインからボールを持ち運び、福岡がバランサーとして宮本が上がった穴を埋める。
そうすることで相手のファーストディフェンダーを剥がして、中盤まで侵入し、攻撃に厚みを加えていた。
いわば、宮本が「隠れた前進装置」だったのだ。

今季宮本がいなくなって、同じクオリティで攻撃に関与できる人を探すのも難しい。
前節も、CBが前進できず、アンカーが相手を背負ってボールを受けたり、相手プレスを回避するのに苦労していた印象がある。

きょうは3バックにして、ボールを持ち運ぶ役割は主に2センターハーフ、ジョアン・ペドロと先発に抜擢されたユン・ソンジュンに託された。
齊藤未月でも米本でもなくユン・ソンジュンが選ばれたのは「ボールキャリー」に長けているからではないだろうか。
そして、この2人コンビが予想外と言っていいぐらいに機能していた。

もうひとつは原大智の代役問題。
開幕から2節は3トップやジョアン・ペドロを目がけて蹴っていたけど、前線で起点をつくれていたとは言い難かった。
で、きょうは「前節で高さがある選手がいなければウイングバックに蹴ればいいじゃない」とばかりに(!?)、右ウイングバックの福田に目がけて蹴ることが多かった。
ロングボールのターゲットはやはりサイドにしたい、ということだろうか。

まとめると、退団した選手の代わりを別の選手にやらせるのではなくて、「構造」を変えた。
そして、個人が担っていた機能をチーム全体へ分散させた、ということだ。

▼”2026年バージョンのサンガ(3)”=「守りながら攻める」

さらに俯瞰してみてみると、攻守ともに昨季よりも「ポジショナル」な戦い方に舵を切っているように思える。

京都サンガのサッカー/曺さんのサッカーといえば、相手ボールホルダーへハイプレス。
ボールを奪えば後ろからどんどん人が追い越していく、ハイテンションなスタイルが代名詞といえるだろう。

ただ、今季に関しては、ボールを持っても相手の守備人数が一定数いれば「攻め急がない」シーンが多いように感じるのだ。
常にボール周辺に人数が揃えながら攻撃を進め、無闇にゴール前にクロスを放り込まない。
裏返して言えば、失っても即3〜4人が近くにいる→ ボール奪取ができるようになっているということ。
攻撃構造そのものが守備ブロックになっているわけだ。
その結果、ボールロスト→カウンターで被弾というリスクも抑えられる。

……ってこれは、3節を見ての推測なので正しいかはわかならい。
もう少し観戦を続けて、京都サンガの変化を探ってみよう。

【J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド第2節】清水エスパルス 1-1(PSO1-3) 京都サンガF.C.

清水エスパルス 1-1(PSO1-3) 京都サンガF.C.
日時:2026年2月14日(土)14:04KO
会場:静岡市清水日本平運動公園球技場 “アイスタ”(1万5,416人/晴 12.9℃ 59%)
主審:須谷雄三
46′-清水/オウンゴール(アピアタウィア久)
90+12′-京都/ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”(左足)
<penalty shoot-out>
1本目:○ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
2本目:○ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”
3本目:×鈴木義宜
4本目:○マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス

■清水エスパルス(4-1-2-3)
GK1:沖悠哉
DF39:日髙華杜(90′-MF97:大畑凜生)
DF51:住吉ジェラニレショーン
DF15:本多勇喜
DF28:吉田豊
MF10:マテウス・ブエノ・バチスタ
MF81:小塚和季(79′-MF17:弓場将輝)
MF23:千葉寛汰(79′-FW38:髙橋利樹)
FW49:北川航也(87′-FW18:郡司璃来)
FW9:オ・セフン
FW7:ジョアン・ヴィクトル・ダ・ヴィトーリア・フェルナンデス “カピシャーバ”

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK1:太田岳志
DF2:福田心之助
DF5:アピアタウィア久(74′-MF99:本田風智)
DF50:鈴木義宜
DF22:須貝英大
MF32:齊藤未月(46′-MF8:米本拓司)(85′-DF34:エンリケ・ヂ・ソウザ・トレヴィザン)
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
MF16:平岡大陽(46′-MF39:平戸太貴)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス
FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”
FW77:新井晴樹(58′-MF7:奥川雅也)

100分過ぎに微笑んだ女神

「原大智、おまえだったのか。いつも、ためをつくってくれたのは」(兵十)
……ということで、高さ以外で原選手不在の大きさを感じたゲームだった。

とにかく、京都の選手たちが「攻め急ぐ」シーンが目立つ。
密集地帯でスルーパスを狙ったり、受け手の選手と意思疎通ができてない状態でダイレクトのパスを出したり。
「イチかバチか」にプレイでボールを奪われ、そのままの勢いで相手に攻撃に転じられることがたびたび起きていた。
そういえば、原が左サイドで相手にプレスをかけられても、ひょうひょうと足もとにボールを収めていたよね。
速攻ができないときは、ああいった時間で陣形を整理するのは有効だった。

試合後の曺さんのコメントでも、
「少し自分が高い目標をみんなに共有することで、選手に少し勝ち焦ってプレーが雑になっているところも見受けられました」
「前半からもっとイニシアチブにやれた場面がたくさんあった中で、アバウトなプレーが多くなった。
自分たちが前進すべきところでロストしてしまって、逆に相手から長いボールを打ち込まれるような展開だった」
といった言及があった。
半年間の短期決戦ゆえ、開幕戦で勝ち点1に終わったことで、この試合は勝利が欲しかった。
その勝ちたいという「焦り」がプレイに出てしまった、ということだろうか。

前半で退くことになった齊藤未月も、
「中盤の底でプレーしているのだから、セカンドボールを拾ったあとに落ち着かせる時間帯をつくることやミスをミスにしないところは自分として向上させていかないといけない」
と試合後、振り返っている。

確かに、前節に続いて、相手のプレッシャーに対してミドルゾーンでうまくボールをつなげなかったのは事実。
加えて、ロングボールを蹴っても、そのセカンドボールは相手に収められていた。
清水の方が、やりたいことが明確で迷いがなかった。
対する、京都はまだ戦い方が整理されてないような印象が残った。

ただ、完全に清水のゲームだっただけに、勝ち点「2」を拾えたことは大ラッキー。
敗色濃厚だった追加タイム12分、本田風智が敵陣で相手のキックをうまくブロック。
こぼれ球がエリアスの前に来て、冷静かつ豪快にネットを揺らし同点に追いつく。
相手を崩したわけではないが、幸運の女神が最後の最後で京都に微笑んでくれた格好だ。
そして、PK戦は前節での「経験」が生きたと言えるだろう。

アウェイでPK勝ちとはいえ、反省材料の多かったこの試合。
どう修正して、次節に臨むのだろうか。
先発選手は何人か入れ替えがありそうな予感はするかな。