【J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド第4節】サンフレッチェ広島 1-2 京都サンガF.C.

サンフレッチェ広島 1-2 京都サンガF.C.
日時:2026年2月27日(金)19:03KO
会場:広島県広島サッカースタジアム “Eピース”(2万6,042人/雨 14.1℃ 90%)
主審:木村博之
39′-広島/荒木隼人
81′-京都/ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”(左足←マルコ・トゥーリオ)
90+3′-京都/エンリケ・ヂ・ソウザ・トレヴィザン(ヘッド←新井)

■サンフレッチェ広島(3-4-2-1)
GK1:大迫敬介
DF33:塩谷司
DF4:荒木隼人
DF37:キム・ジュソン
MF13:新井直人(60′-MF15:中野就斗)
MF3:山﨑大地(79′-MF35:中島洋太朗)
MF14:松本泰志
MF24:東俊希(46′-DF16:志知孝明)
FW9:ジャーメイン良(69′-MF6:川辺駿)
FW11:加藤陸次樹
FW17:木下康介(46′-FW10:鈴木章斗)

■京都サンガF.C.(3-4-2-1)
GK1:太田岳志
DF22:須貝英大(63′-MF39:平戸太貴)
DF50:鈴木義宜
DF34:エンリケ・ヂ・ソウザ・トレヴィザン
MF2:福田心之助
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
MF25:ユン・ソンジュン(74′-MF16:平岡大陽)
MF44:佐藤響(63′-MF77:新井晴樹)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(90+6′-FW93:長沢駿)
FW18:松田天馬(46′-MF7:奥川雅也)
FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”

思春の森を抜けて

試合開始から、3-4-3のミラーゲームでピッチを幅広く使っての真っ向勝負!
相手の運動量が落ちた60分過ぎ、最終ラインを1枚減らして、トゥーリオ&エリアスの2トップで縦に鋭い速攻勝負!!
さらに最後は、パワープレイで高さ勝負!!!
横、縦、高さと、3次元を使い分けて、みごと勝利を手繰り寄せた。
アウェイで見事に勝ち点3ゲット。
4節時点で首位…だと?(; ・`д・´)ゴクリ

「昨年にこのスタジアムで対戦したときは結果は引き分けでしたが、シュートは5倍打たれました。
相手コートに入った数も3.5倍くらいあって、かなり相手に押された試合でした」
と曺さんが振り返っていたように、昨季のアウェイ広島戦はパーフェクトに圧倒されていた。
一方、きょうはトータルでは広島優勢の試合だったのは否めないけど、結果的には勝ち切った。

昇格から4年間、着実に成長していることを実感、ライバルチームは阿鼻叫喚(韻踏合組合)。
というわけで、京都サンガさんは青臭いチームから、だいぶ〝大人〟なチームになってきたなぁ。

結果のためのハイプレス

前節でもきょうのゲームでも、ゴールは相手を崩してのものではない。
エリアスの同点ゴールも、広島のイージーなミスからだった。
しかし、そうしたミスが生まれたのも、京都が
①ハイインテンシティなプレイを続け、相手に「肉体的圧力」をかけ続けてた
②後半途中から戦い方を変えたりして、相手に「認知的圧力(cognitive pressure)」をかけ続けた
ことの帰結、なのかもしれない。

そして今季、京都のプレッシングは確実にバージョンアップしている。
思い返せば昇格1年目ごろは、後ろの布陣を気にしない〝全力全開プレス〟だった。
だが、ライバルも戦術的な対策を講じてくるようになり、ハイプレスはしばしば〝無効化〟されるようになった。
今季のプレッシングは、ボールホルダーに必ずチェックに行きながらも、相手のパスコースを限定し、ボールの奪いどころを定めるようなやり方。
いまの京都にとって、ハイプレスは「結果であって目的ではない」とでも言おうか。

この「守備時の誘導的ハイプレス」と、前節の戦い方で顕著だった「遅攻時のポジショニング」。
2つは表裏一体にも思え、曺さんがよく言及している「選手間の距離感」というキーワードにも繋がってくるのかな?

最後になるけど、きょうもユン・ソンジュンは素晴らしかった。
木下選手に対してボディコンタクトで負けてなかったし、相手選手が2人いる間をドリブルで抜けていったシーンは震えたね。
恐るべき18歳!

https://twitter.com/sangafc/status/2027364238935863423
https://twitter.com/sangafc/status/2027947413928104143

「あれで失点してたら切り抜かれるよ」(太田岳志)

【J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド第3節】京都サンガF.C. 2-0 アビスパ福岡

京都サンガF.C. 2-0 アビスパ福岡
日時:2026年2月22日(日)14:03KO
会場:京都府立京都スタジアム”サンガS”(1万5,322人/晴れ 19.9℃ 49%)
主審:清水勇人
32′-京都/ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”(右足)
77′-京都/マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(右足)

■京都サンガF.C.(3-4-2-1)
GK1:太田岳志
DF22:須貝英大
DF50:鈴木義宜
DF34:エンリケ・ヂ・ソウザ・トレヴィザン
MF2:福田心之助(90+5′-DF40:石田侑資)
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
MF25:ユン・ソンジュン(90+5′-MF32:齊藤未月)
MF44:佐藤響(90+5′-DF15:永田倖大)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(90+2′-MF77:新井晴樹)
FW18:松田天馬(78′-MF7:奥川雅也)
FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”

■アビスパ福岡(3-4-2-1)
GK24:小畑裕馬
DF5:上島拓巳
DF37:田代雅也
DF16:岡哲平
MF29:前嶋洋太(59′-DF33:山脇樺織)
MF8:奥野耕平(83′-FW27:道脇豊)
MF11:見木友哉
MF22:藤本一輝(69′-DF47:橋本悠)
FW18:佐藤颯之介(59′-FW25:北島祐二)
MF14:名古新太郎
FW9:シャハブ・ザヘディ(69′-FW7:碓井聖生)

さぁしっかり狙いを定めて いつものようにおやり

福岡の塚原真也さん、京都ユース出身なのかッ!
白髪まじりの髪と髭、スーツの着こなし——。
40歳とは思えない威厳があるね。

その塚原さん、試合後のフラッシュインタビューでは
「京都の3バックは正直予想してなかった」
と言っており、特に前半京都にペースを握られたことを悔やんでいた。

一方、曺さんは試合内容に手応えがあったのか、インタビューでいつもより饒舌だった。
発言の中で聞き逃せない点が、
「彼ら(福岡)の嫌がること、良さを出させないようにゲームを進められたので、“2026年バージョンのサンガ”が少し見せられた」
「フォーメーションを変えたのではなく、“立ち位置”を少し変えた
「選手がお互いの距離感を縮めながら、セカンドボールを回収し最短でゴールに向かってくれた」
の3点だろうか。

さて、きょうの試合で見せてくれた”2026年バージョンのサンガ”とは、いったいどんなものだろうか?
3つの解像度から見えたことを、ちょっとメモっておこう。

▼”2026年バージョンのサンガ(1)”=3バックという選択肢

いちばん荒い解像度でも分かるのは、3バックがオプションとして使えそうということだ。
昨シーズンの京都サンガは、高さがある選手を前線に置いてハイボールを放り込んでくる相手に苦戦することが多かった。
他ならぬ福岡にも、ロングボールを打ち込まれ続け、アディショナルタイムに2点取られ引き分けに持ち込まれたこともあった。
また、前節もオ・セフンに競り負けること、多々。

きょうの3バックの左右は、高さに定評のあるエンリケ・トレヴィザン、身長の割には空中戦に強い須貝。
おもにこの2人を競らせることで、シャハブ・ザヘディ相手に制空権を握ることに成功した。
また2枚のセンターハーフが、空中戦のこぼれ球をうまく回収することができていた。
真ん中に入った鈴木のラインコントロールで、最後までラインを高くキープ。

攻撃でも、ウイングバックが幅を取り、左右CBも加勢。
いい距離感と角度でボールを動かし、開幕戦と前節に比べて有機的にゴール前まで迫れていた。
ということで、対戦相手の戦い方に応じて、3バック、4バック、使い分けができそうな期待をさせてくれる出来だった。

▼”2026年バージョンのサンガ(2)”=宮本&原&福岡不在の戦い方

昨シーズンの京都サンガにおいて、最終ライン+アンカーの関係は特に良好だった。
宮本が最終ラインからボールを持ち運び、福岡がバランサーとして宮本が上がった穴を埋める。
そうすることで相手のファーストディフェンダーを剥がして、中盤まで侵入し、攻撃に厚みを加えていた。
いわば、宮本が「隠れた前進装置」だったのだ。

今季宮本がいなくなって、同じクオリティで攻撃に関与できる人を探すのも難しい。
前節も、CBが前進できず、アンカーが相手を背負ってボールを受けたり、相手プレスを回避するのに苦労していた印象がある。

きょうは3バックにして、ボールを持ち運ぶ役割は主に2センターハーフ、ジョアン・ペドロと先発に抜擢されたユン・ソンジュンに託された。
齊藤未月でも米本でもなくユン・ソンジュンが選ばれたのは「ボールキャリー」に長けているからではないだろうか。
そして、この2人コンビが予想外と言っていいぐらいに機能していた。

もうひとつは原大智の代役問題。
開幕から2節は3トップやジョアン・ペドロを目がけて蹴っていたけど、前線で起点をつくれていたとは言い難かった。
で、きょうは「前節で高さがある選手がいなければウイングバックに蹴ればいいじゃない」とばかりに(!?)、右ウイングバックの福田に目がけて蹴ることが多かった。
ロングボールのターゲットはやはりサイドにしたい、ということだろうか。

まとめると、退団した選手の代わりを別の選手にやらせるのではなくて、「構造」を変えた。
そして、個人が担っていた機能をチーム全体へ分散させた、ということだ。

▼”2026年バージョンのサンガ(3)”=「守りながら攻める」

さらに俯瞰してみてみると、攻守ともに昨季よりも「ポジショナル」な戦い方に舵を切っているように思える。

京都サンガのサッカー/曺さんのサッカーといえば、相手ボールホルダーへハイプレス。
ボールを奪えば後ろからどんどん人が追い越していく、ハイテンションなスタイルが代名詞といえるだろう。

ただ、今季に関しては、ボールを持っても相手の守備人数が一定数いれば「攻め急がない」シーンが多いように感じるのだ。
常にボール周辺に人数が揃えながら攻撃を進め、無闇にゴール前にクロスを放り込まない。
裏返して言えば、失っても即3〜4人が近くにいる→ ボール奪取ができるようになっているということ。
攻撃構造そのものが守備ブロックになっているわけだ。
その結果、ボールロスト→カウンターで被弾というリスクも抑えられる。

……ってこれは、3節を見ての推測なので正しいかはわかならい。
もう少し観戦を続けて、京都サンガの変化を探ってみよう。

【J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド第2節】清水エスパルス 1-1(PSO1-3) 京都サンガF.C.

清水エスパルス 1-1(PSO1-3) 京都サンガF.C.
日時:2026年2月14日(土)14:04KO
会場:静岡市清水日本平運動公園球技場 “アイスタ”(1万5,416人/晴 12.9℃ 59%)
主審:須谷雄三
46′-清水/オウンゴール(アピアタウィア久)
90+12′-京都/ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”(左足)
<penalty shoot-out>
1本目:○ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
2本目:○ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”
3本目:×鈴木義宜
4本目:○マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス

■清水エスパルス(4-1-2-3)
GK1:沖悠哉
DF39:日髙華杜(90′-MF97:大畑凜生)
DF51:住吉ジェラニレショーン
DF15:本多勇喜
DF28:吉田豊
MF10:マテウス・ブエノ・バチスタ
MF81:小塚和季(79′-MF17:弓場将輝)
MF23:千葉寛汰(79′-FW38:髙橋利樹)
FW49:北川航也(87′-FW18:郡司璃来)
FW9:オ・セフン
FW7:ジョアン・ヴィクトル・ダ・ヴィトーリア・フェルナンデス “カピシャーバ”

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK1:太田岳志
DF2:福田心之助
DF5:アピアタウィア久(74′-MF99:本田風智)
DF50:鈴木義宜
DF22:須貝英大
MF32:齊藤未月(46′-MF8:米本拓司)(85′-DF34:エンリケ・ヂ・ソウザ・トレヴィザン)
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
MF16:平岡大陽(46′-MF39:平戸太貴)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス
FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”
FW77:新井晴樹(58′-MF7:奥川雅也)

100分過ぎに微笑んだ女神

「原大智、おまえだったのか。いつも、ためをつくってくれたのは」(兵十)
……ということで、高さ以外で原選手不在の大きさを感じたゲームだった。

とにかく、京都の選手たちが「攻め急ぐ」シーンが目立つ。
密集地帯でスルーパスを狙ったり、受け手の選手と意思疎通ができてない状態でダイレクトのパスを出したり。
「イチかバチか」にプレイでボールを奪われ、そのままの勢いで相手に攻撃に転じられることがたびたび起きていた。
そういえば、原が左サイドで相手にプレスをかけられても、ひょうひょうと足もとにボールを収めていたよね。
速攻ができないときは、ああいった時間で陣形を整理するのは有効だった。

試合後の曺さんのコメントでも、
「少し自分が高い目標をみんなに共有することで、選手に少し勝ち焦ってプレーが雑になっているところも見受けられました」
「前半からもっとイニシアチブにやれた場面がたくさんあった中で、アバウトなプレーが多くなった。
自分たちが前進すべきところでロストしてしまって、逆に相手から長いボールを打ち込まれるような展開だった」
といった言及があった。
半年間の短期決戦ゆえ、開幕戦で勝ち点1に終わったことで、この試合は勝利が欲しかった。
その勝ちたいという「焦り」がプレイに出てしまった、ということだろうか。

前半で退くことになった齊藤未月も、
「中盤の底でプレーしているのだから、セカンドボールを拾ったあとに落ち着かせる時間帯をつくることやミスをミスにしないところは自分として向上させていかないといけない」
と試合後、振り返っている。

確かに、前節に続いて、相手のプレッシャーに対してミドルゾーンでうまくボールをつなげなかったのは事実。
加えて、ロングボールを蹴っても、そのセカンドボールは相手に収められていた。
清水の方が、やりたいことが明確で迷いがなかった。
対する、京都はまだ戦い方が整理されてないような印象が残った。

ただ、完全に清水のゲームだっただけに、勝ち点「2」を拾えたことは大ラッキー。
敗色濃厚だった追加タイム12分、本田風智が敵陣で相手のキックをうまくブロック。
こぼれ球がエリアスの前に来て、冷静かつ豪快にネットを揺らし同点に追いつく。
相手を崩したわけではないが、幸運の女神が最後の最後で京都に微笑んでくれた格好だ。
そして、PK戦は前節での「経験」が生きたと言えるだろう。

アウェイでPK勝ちとはいえ、反省材料の多かったこの試合。
どう修正して、次節に臨むのだろうか。
先発選手は何人か入れ替えがありそうな予感はするかな。

【J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド第1節】京都サンガF.C. 1-1(PSO1-4) ヴィッセル神戸

京都サンガF.C. 1-1(PSO1-4) ヴィッセル神戸
日時:2026年2月6日(金)19:00KO
会場:京都府立京都スタジアム”サンガS”(1万5,083人/曇り7.4℃76%)
主審:福島孝一郎
37′-神戸/武藤嘉紀
53′-京都/マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(右足←ハファエウ・エリアス)
<penalty shoot-out>
1本目:×エリアス
2本目:○奥川
3本目:×須貝

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK1:太田岳志
DF2:福田心之助
DF5:アピアタウィア久
DF50:鈴木義宜
DF44:佐藤響(70′-DF22:須貝英大)
MF32:齊藤未月(70′-MF8:米本拓司)
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
MF18:松田天馬(70′-MF16:平岡大陽)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(90+1′-MF39:平戸太貴)
FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”
FW77:新井晴樹(82′-MF7:奥川雅也)

■ヴィッセル神戸(4-1-2-3)
GK1:前川黛也
DF24:酒井高徳
DF4:山川哲史
DF3:マテウス・ソアレス・トゥーレル
DF41:永戸勝也
MF6:扇原貴宏
MF5:郷家友太(79′-FW26:ジェアン・パトリッキ・リマ・ドス・ヘイス)
MF7:井手口陽介
FW11:武藤嘉紀
FW10:大迫勇也(46′-FW29:小松蓮)
FW13:佐々木大樹

革新を確信して

3位という躍進を遂げた2025年シーズン。
しかし、核となっていた宮本選手、原選手が移籍で退団。
さらに、チームの「心臓」だった福岡がケガで長期離脱(全治4ヶ月)を強いられることになった。
半年間の短期決戦となる「百年構想リーグ」。
その初戦で見せた戦い方を振り返ってみる。

(守備) ハイライン/ハイプレスの常態化

宮本の「後釜」は、おおかたの予想どおり機動力に長けたアピアタウィア久だった。
そして、守備強度を高くしたかったのか中盤に松田天馬を起用。
昨年の開幕節(対岡山)、フワッと戦って惨敗した反省からか、チームの代名詞であるハイライン、ハイプレスを最大出力しようという姿勢が見られた。

とはいえ、前半からアンカー脇のスペースを使われ、何度か危険なシーンをつくられたのは、神戸の攻撃陣が一枚上手だったからと言える。
途中からジョアン・ペドロのポジションを少し下げ、ボールを追いすぎないようにアジャスト。
また、チーム全体で体を張った(※カードももらったが……)守備によって対抗した。
失点は武藤のシュートを褒めるべきもの。
守備は昨シーズンの延長線上で、ある程度のクオリティは担保されるはずだ。

(攻撃) 前線に加わった「スピード」という武器

191cmの原大智が抜けたことで、「ロングボール主体で、高い位置でセカンドボールを回収して押し込む」攻撃が望めなくなった。
これは大きい。
この日も、前半からエリアス、ペドロ、新井に向けて蹴っていたけど、機能をしていたかと言われれば……(涙そうそう)。
しかし、新井を先発で使ったことで「バーティカル(垂直的)&スピーディーな攻撃」がある程度は機能していた。
同点ゴール(後半8分)のシーンでも、エリアス選手のスルーパスにマルコ・トゥーリオが鋭く抜け出したものだ。

原の移籍は開幕前、突然だったものの、そのことが結果として攻撃のバージョンアップを加速させるかもしれない。
今季、吉田達磨さんを副官として招聘したのは、おそらく戦術面のテコ入れを狙ったものだろう。
ポゼッションとパスワークで主導権を握るサッカーを志向する人物によって、昨年とは違う攻撃スタイルを見ることができるのではないか。
曺さんが試合後、
「完璧ではないんですけれど、自分たちがボールを持って押し込んでいく形は去年と比べてもいろんなバリエーションが見えたと思います。決定的なチャンスを作るところ、ボックス周辺に人数をかけることも、(後半終了間際の)最後のチャンスも含めて、選手たちは意識してやっていました」
と語っていたのも、今シーズンの〝チームのテーマ〟が伺いしれるものだった。

「曺貴裁体制6年目」の変化と進化——。
その端緒を見つけることができた、真冬の初陣だった。

【J1第38節】京都サンガF.C. 2-0 ヴィッセル神戸

京都サンガF.C. 2-0 ヴィッセル神戸
日時:2025年12月6日(土)14:03KO
会場:京都府立京都スタジアム”サンガS”(2万74人/晴13℃45%)
主審:御厨貴文
38′-京都/マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(右足)
77′-京都/ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”(左足マルコトゥーリオ)

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK26:太田岳志
DF2:福田心之助(79′-MF44:佐藤響)
DF24:宮本優太
DF50:鈴木義宜
DF22:須貝英大
MF10:福岡慎平
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
MF18:松田天馬(88′-MF8:米本拓司)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(88′-MF29:奥川雅也)
FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”(90+5′-MF27:山田楓喜)
FW14:原大智

■ヴィッセル神戸(4-1-2-3)
GK1:前川黛也
DF24:酒井高徳(71′-MF2:飯野七聖)
DF4:山川哲史
DF3:マテウス・ソアレス・トゥーレル
DF41:永戸勝也
MF6:扇原貴宏
MF7:井手口陽介(57′-MF25:鍬先祐弥)
MF9:宮代大聖(57′-FW27:エリキ・ナシメント・ヂ・リマ)
FW13:佐々木大樹(86′-FW26:ジェアン・パトリッキ・リマ・ドス・ヘイス)
FW10:大迫勇也
FW23:広瀬陸斗(57′-MF11:武藤嘉紀)

曺貴裁コーチ(京都)
「いろんな思いが込み上げてきました。
優勝させてあげられなくて申し訳なかったなと思いますし、きょう勝ったからからこそ悔しい気持ちが一気に出てきました。
最後の試合で、いつもやってきたように魂を込めてプレイしてくれた選手たちに感謝したいと思います。
(どんな1年だったか?)
うれしかったことはほとんど覚えてなくて、悔しかったことがいま脳裏によぎりました。
ただ、こういう出来のプレイができる選手たちは、間違いなく誇りに思います。
来年もここで仕事をさせてもらいますけれど、選手たちの成長に追い越されないように、自分自身謙虚に向かっていかないといけないと思っています。
選手・スタッフ、ここにいるサポーターの皆さん、サンガを応援するすべての人に感謝します」
 

30年分の「ありがとう」

996年にJリーグに加盟して以来、30年目にしてクラブ史上最高位となる3位。
2002年の5位を超えて、クラブは「歴史」をつくった。

試合後のセレモニー。
監督からの第一声は「悔しい」だった。
そして話すうちに言葉を詰まらせ、最後は
「今度はうれし涙に変えて、京都中を熱狂させましょう!」
と大きな声で締めた。
例年は選手をイジったり会場を笑わせることも多かったが、今季はさすがに感傷的だった。

続いてマイクを持った主将・福岡。
年齢には似つかわしくない冷静な語り口(大人になったね……)で、
「一番悔しいシーズンになった」
と振り返った。
試合後の選手たちのコメントを読むと、チームとして「優勝」を本気で狙っていたことがよくわかった。

観客席で「2025年たのしかった」というメッセージを掲げている人がいて、我が意を得たりの気持ちになった。

いま、SNSを中心に、自分たちの周りはネガティヴなものでに溢れている。
「怒り」や「誹り(そしり)」の言葉ばかりが、渦のように広がっていく。
そうした発信をする人の背後には何があるのだろう。
嫉妬、羞恥、無知、無力——そのひとつひとつに向き合うのが怖いからだろうか。

そうした中で、全力で身体を張って走り続ける京都のサッカーは、多くの人を惹きつけるものがあった。
さらに今季は「結果」がついてきた。
ときには、不出来な内容でも勝つことができた試合もあった。
チームが強くなった、という証左だろう。

2万人を超える観客がサンガスタジアムに集まるようになった。
長い間、京都サンガを見てきた自分にとっても、信じられない光景だ。
シーズン3位という最終順位も、望外の結果と言える。
J1に上がって1年目、本当に強いと思った横浜FM、広島、川崎よりも上の順位なのだから。

時代は移り変わる。
もちろん、自分たちも好調が続くかどうかわからない。
ただ、もう少しは夢を見続けていたい。
このチームが、今季以上に躍動することを、心から期待している。
2026年、夢の続きへ——。