【J1第37節】横浜FC 0-1 京都サンガF.C.

横浜FC 0-1 京都サンガF.C.
日時:2025年11月30日(日)14:03KO
会場:神奈川県横浜市三ツ沢公園球技場”ニッパ球”(9,804人/晴16.9℃38%)
主審:山本雄大
23′-京都/ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”(左足←マルコ・トゥーリオ)

■横浜FC(3-4-2-1)
GK21:市川暉記
DF16:伊藤槙人
DF2:ンドカ・ボニフェイス
DF5:福森晃斗
MF8:山根永遠(83′-MF39:遠藤貴成)
MF4:ユーリ・リマ・ララ
MF76:山田康太(83′-MF14:中野嘉大)
MF48:新保海鈴
FW15:伊藤翔(63′-FW91:ルキアン・アラウージョ・ヂ・アルメイダ)
FW10:ジョアン・パウロ・ケイロス・ヂ・モラエス(74′-FW90:アダイウトン・ドス・サントス・ダ・シウヴァ)
FW9:櫻川ソロモン(74′-FW7:鈴木武蔵)

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK26:太田岳志
DF2:福田心之助(60′-MF44:佐藤響)
DF24:宮本優太
DF50:鈴木義宜
DF22:須貝英大
MF10:福岡慎平(86′-MF32:齊藤未月)
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
MF39:平戸太貴(60′-MF8:米本拓司)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(77′-MF29:奥川雅也)
FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”
FW14:原大智(86′-MF27:山田楓喜)

思えば遠くへ来たもんだ

年末繁忙期。
なんとか前日に調整がつき、リセール価格でお得にメインスタンド最前席から観戦できた。
おそらくは、優勝戦戦から離脱したから現地に行くことを取りやめた人が多かったのかな。
とはいえ、かなりのサンガサポーターが集結していた。

思い返せば、J2時代は、きょうの10分の1以下の人数だっただろう。
横浜FCのスポンサー主催で、婚活パーティーがメインスタンド(アウェイ側)で開催されたことを思い出した。
大木さん時代に、試合終了直前、綺麗なパス交換で劇的勝ち越し弾を決めたのも懐かしい。

……ということで、ゲーム内容はお世辞にもいいものではなかったため、懐古ネタで。

【J1第36節】京都サンガF.C. 0-3 横浜F・マリノス

京都サンガF.C. 0-3 横浜F・マリノス
日時:2025年11月9日(日)14:03KO
会場:京都府立京都スタジアム “サンガS”(1万9,828人/雨 16.7℃ 90%)
主審:長峯滉希
※28′-横浜FM/ジョルディ・クルークスPK失敗
35′-横浜FM/谷村海那
72′-横浜FM/天野純
90+2′-横浜FM/植中朝日

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK26:太田岳志
DF22:須貝英大
DF24:宮本優太
DF50:鈴木義宜
DF44:佐藤響(46′-DF2:福田心之助)
MF32:齊藤未月(46′-MF10:福岡慎平)
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
MF39:平戸太貴(56′-MF48:中野瑠馬)
FW29:奥川雅也(71′-MF25:レオナルド・ダ・シウヴァ・ゴメス “レオ・ゴメス”)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス
FW14:原大智(※脳震盪交代 31′-FW93:長沢駿)(64′-FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”)

■横浜F・マリノス(4-2-1-3)
GK19:朴一圭
DF16:加藤蓮
DF13:ジェイソン・エスティベン・キニョーネス・ボティナ
DF22:角田涼太朗
DF25:鈴木冬一(86′-MF6:渡辺皓太)
MF45:コジョ・ジャン・クルード・アジアンベ
MF8:喜田拓也
MF14:植中朝日(90+5′-FW26:ディーン・デイビッド)
FW37:ジョルディ・クルークス(66′-MF20:天野純)
FW48:谷村海那(86′-FW18:オナイウ情滋)
FW17:井上健太(77′-FW30:ユーリ・ナシメント・ヂ・アラウージョ)


終わりのないダンスは続く

冷たい雨が、ピッチと京都に関わる人たちの心を濡らした。

チケット完売で迎えた一戦。
首位に食らいつくには、勝利しか許されない正念場だった。
チームとサポーターが膨らませ続けた「まだ見ぬ景色」への渇望が、スタジアムを熱気で満たす。
しかし、試合終了の笛とともに叩きつけられた現実。
0-3。
アウェイの横浜FMに完敗を喫し、J1初制覇の可能性は完全に消えてしまったのだ。

なぜ、京都は勝てなかったのか?
選手、そして監督が絞り出した言葉の断片に、その答えは散らばっていた。

重くのしかかった「決定力」の差

試合の序盤、流れは決して悪くなかった。
いや、むしろ京都が流れをつかむべきだった。
14分、17分と、奥川雅也が立て続けに相手ゴールキーパーと1対1の決定機を迎える。
だが、いずれも横浜FMの守護神・朴一圭のビッグセーブに阻まれた。

「前半のチャンスで決め切らないと悪い流れが来そうだな、という感じはありました。決めないといけない場面もありました」
試合後、奥川は唇を噛んだ。
決め切れなかったことが、選手たちのマインドに「嫌な予感」として残ったのだろうか。

28分、京都はPKという絶体絶命のピンチを迎える。
だが、ここで守護神・太田岳志が意地を見せた。
キッカーのクルークスに対し、「マルコ(・トゥーリオ)が左を指差していたので、そのフィーリングを信じて」左へ跳び、完璧なストップ。
スタジアムのボルテージは最高潮に達した。

しかし、そのわずか7分後だった。
35分、クルークスのFKから谷村海那に頭で合わされ、先制を許す。

奥川は
「セットプレーはけっこう練習してきていたので、ああいう形でやられるのはもったいなかった」
と肩を落とした。
太田も
「スカウティングで、相手が止まったボールからチャンスをつくっているのはわかっていた。なるべくあの位置でファールをしないようにしようと言っていました」
と、相手のセットプレーを警戒していたことを明かし、
「クルークス選手がああいう場所からでもシュートを狙ってくるという情報があったので、いつもよりゴールに近いポジションを取っていたんです。結果的にそれが(失点という)よくない方向にいったのかな」
と失点の場面を振り返った。
守護神の奮闘でつかみかけた流れを自ら手放してしまったかのような、重い重い被弾だった。

途切れた流れ、目に見えない「何か」

後半、指揮官は動く。
福岡慎平と福田心之助を投入し、「ボールを保持する」方向にアジャストを図った。

確かに、この日の前半は「勝たなければいけない」という意識が強すぎたのか、前線めがけて大きく蹴り出す選択が多かった。
しかし今季の京都は、高い位置からのプレスと素早い切り替えだけでなく、ボールをつなぎながら相手を押し込んでいく「スペース管理」もできるようになってきたはずだ。

「前半を外から見ていて、ボールの落ち着きどころがなかったというか、ボールが跳ね返ってきても全部ロングボールを蹴ってしまって。なかなか自分たちでゲームコントロールができないと感じていました」
「監督から『たくさんボールを受けてほしい』と言われましたし、簡単にロングボールを蹴らずに中盤からつないでいければ、よい攻撃ができるんじゃないかと思いました」

福岡が言うように、後半開始から最初の15分間、ポゼッションは京都が6割近くを握り、何度もペナルティーエリアの周辺に厚みをつくれていた。
50分にはマルコ・トゥーリオのシュートが相手ゴール右隅を急襲もした。

ただ、福岡が「その流れで得点が取れていれば違ったかなと思いますが……」と続けたように、相手の守備をこじ開けるまでには至らなかった。
攻めあぐねる中、72分、そしてアディショナルタイムと、無情にも追加点を奪われてしまう。
特に2失点目以降、チームの勢いは削がれ、ピッチの選手からも覇気が失われたようにも思えた。

宮本優太は、敗因がこの試合だけにあるのではないのだと分析している。
「(前節)鹿島戦の最後のプレーからきょうまでが、ずっとつながっていたんだなと、あらためて自分が情けなかったなということを、振り返って思いますね。鹿島戦で踏ん張れていればチームはもっと勢いづいていただろうし、きょうはまた違うところで意地を見せられたのかな、と」

目に見えるものではない、と前置きしながらも、彼は続けた。
「チームとしての自信や勇気は、あのタイミング(=鹿島戦のロスタイム)で失っちゃったのかなと思います」

優勝争いという、クラブが経験したことのない高み。
長く続いた重圧の中で、チームを支える「何か」が、確かにすり減っていたのかもしれない。
それが、例えばゴール前で身体を投げ出すときの、ほんの一瞬の躊躇になって現れるのだろう。
勝負を分ける「感覚」を、宮本選手は正面から言語化している。

「火を消した」——指揮官の自責

「優勝させられなかった、優勝戦線から脱落してしまった責任は、コーチングスタッフやフロント、選手にはまったくないと思います」
試合後、曺貴裁監督は静かに、しかし強く、自らを責めた。

「きょうは自分の振ったタクトも含めて、非常によくなかった。スタジアムに集まって応援して、期待してもらっている皆さんに向けても、この火を消してしまった責任は大きいなと感じています」
サンガスタジアムができた当時には考えられなかった、チケット完売の状況。
指揮官は「すごく幸せを感じていました」と振り返っただけに、サポーターの期待に応えられなかった無念さは計り知れない。

ただ、監督が自責の念に駆られる一方で、選手たちの胸には新たな渇望が沸き上がっているようだ。
「ここまでよいシーズンを過ごして、よいところまで来ました。これを自分たちのスタンダードにしないといけない」。
そう、奥川は前を向いた。

福岡慎平もまた、「申し訳ない」という言葉を何度も口にしながら、その先を見据えている。
「ことしは当たり前のように2万人前後のサポーターが駆けつけてくれるようになって、本当にありがたいです。今の状態が特別ではなく、毎回これだけのサポーターが足を運んでくれるように、自分たちもそれにふさわしいサッカーをやり続けなきゃいけないと思います」

J1初制覇という夢は、涙雨とともに流れ去った。
しかし、曺監督が語ったように「4チームしか優勝の可能性がない、その中の1チームに自分たちがいた、紛れもない事実」は、京都の歴史に確かに刻まれた。

「最終節のホームゲームの神戸戦に帰ってくるとき、優勝には届かなかったけれど、最後に見る景色を自分たちはどう感じるかを楽しみにしながら、これからの期間をやっていきたいと思います」
指揮官の言葉が、この日の敗戦の意味を物語る。

残り2試合。
彼らがピッチで何を示し、そしてシーズンをどういった形で終えるのか。
今シーズン、京都サンガの周りに広がった「紫の熱気」は、まだ消えてはいない。

【J1第35節】京都サンガF.C. 1-1 鹿島アントラーズ

京都サンガF.C. 1-1 鹿島アントラーズ
日時:2025年10月25日(土)14:03KO
会場:京都府立京都スタジアム “サンガS”(2万353人/晴のち雨 21℃  65%)
主審:木村博之
36′-京都/マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス (右足←長沢)
90+6′-鹿島/鈴木優磨

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK26:太田岳志
DF2:福田心之助
DF5:アピアタウィア久(74′-MF44:佐藤響)
DF24:宮本優太
DF22:須貝英大
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
MF32:齊藤未月(64′-MF48:中野瑠馬)
MF39:平戸太貴(74′-MF25:レオナルド・ダ・シウヴァ・ゴメス “レオ・ゴメス”)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(86′-MF27:山田楓喜)
FW93:長沢駿(74′-DF3:麻田将吾)
FW14:原大智

■鹿島アントラーズ(4-2-2-2)
GK1:早川友基
DF22:濃野公人
DF55:植田直通
DF3:キム・テヒョン
DF25:小池龍太
MF20:舩橋佑(46′-MF13:知念慶)
MF6:三竿健斗(81′-MF71:荒木遼太郎)
MF77:アレクサンダル・チャヴリッチ(81′-FW34:徳田誉)
MF18:ジョゼ・エウベル・ピメンテウ・ダ・シウヴァ(72′-MF27:松村優太)
FW40:鈴木優磨
FW9:レオナルド・ヂ・ソウザ・ペレイラ “レオ・セアラ”(72′-FW11:田川亨介)

かくも残酷なイニシエーション

紫の戦士たちは、まるで時間が止まったかのようにピッチに崩れ落ちた。
天を仰いだまま動けない選手もいた。
3位・京都サンガが、首位・鹿島アントラーズをホームに迎えた大一番。
勝利すれば、逆転優勝への道が開けるはずの一戦だった。

そのとき━━時計の針は、後半アディショナルタイム6分を指していた。
1-0、京都リード。
勝利まで残り数十秒。
されど〝フットボールの神〟は時として残酷な結末を用意する。
「ニアとファーの間に落とせば何か起こると思っていた」
鹿島MF松村優太がサイドからクロスを上げる。
そのボールは京都のゴール前ファーサイド、最も危険な空間へと吸い込まれていった。

「セカンドボールへの準備をして一瞬、見てしまった」
福田心之助の視線が、わずかにボールの先の味方へと動いた。
その刹那の迷い。
鹿島のエース・鈴木優磨が見逃すはずがなかった。
「(相手DFが)迷ってしまっていた。クロスに合わせるのは自分の強みでもあるので、ひさしぶりにそれが出せたかな」
福田の背後から回り込んで、体をねじ込むようにして右足で合わせる。
ボールは無情にもゴールネットを揺らした。

「僕がもう少し体を寄せていれば防げた」
と福田が首を垂れれば、Gk太田岳志は
「クロスが曲がって落ちる場面で出られたかなと思う。もっと早く飛び出しの判断をすれば失点はしなかった」
と悔やんだ。
一瞬の判断遅れが重なったこともあっての失点。
そして、再開直後に試合終了のホイッスルが鳴る。
掴みかけていた勝ち点「3」は、手から滑り落ちて「1」に変わっていた。

悲劇を悲劇のままにしない

試合後、曺貴裁監督は言葉を選びながら振り返った。
「僕はその場にはいませんでしたが、日本代表の〝ドーハの悲劇〟のような……。ある意味で〝亀岡の悲劇〟のようなシチュエーション。今、言えるのはこれを悲劇のままにしてはいけないということです」

また、悲劇的結末に至る背景として挙げたのが「経験の差」だった。
「(鹿島は)9年近くタイトルから遠ざかっていると聞いているが、伝統の力があり、見えないところで押し込まれていた」
「(リーグ戦の)タイトル争いというプレッシャーがかかる試合は、クラブとして経験がない。ただ、これは必ず次につながる。経験不足は、経験しないと不足分は補えない。そういう意味で必要な経験だったんじゃないか」

そして、最後はすべての責任を自ら背負い込んだ。
「監督の力量不足を感じます。最後のワンプレーは、生きている間ずっと僕の脳裏を離れないと思う」

可能性があるかぎり……

試合後、京都のロッカールームは重い沈黙に支配されていたという。
ショックでうなだれる選手たち。
指揮官が「話したいヤツいるか?」と問いかけると、MF中野瑠馬がか細い声で「申し訳ないです」と口にする。
失点の直前、敵陣深くに進出しながら、ボールキープではなくパスを出す選択をしたことに対する謝罪だった。

チームが寂寥感に包み込まれる中、ひとりの言葉が響いた。
「まだ3試合ある。諦めるのは違う」
声の主は、齊藤未月。
2年前の大怪我を経て、この大一番で移籍後初先発となった不屈のMFだ。
「サポーターはあんなに声援をくれている。鹿島相手にこれだけやれたんだから、残り3試合も諦めずにやろうよ」

齊藤はミーティング後に、こう語っている。
「ポジティブに捉えれば、ここを勝ってしまったらチームが完全燃焼してしまって、残り試合にパワーを注げない可能性もあったと思います」
「でも全然チャンスはある。この展開は僕たちにとってプラスだと思いますし、ここから逆転するのがいちばんおもしろい」

齊藤の熱は伝播した。
負傷でベンチ外だったFWラファエル・エリアスも「みんなもう一度顔を上げよう。俺も諦めない」とチームに喝を入れた。
下を向いていた選手たちが、顔を上げた。
指揮官もまた、選手たちに語りかけた。
「事実としてわれわれに(優勝の)チャンスが残されていないわけではない。次のF・マリノス戦で勝ち点3を取って、可能性を探り続ける。それしかできない」
「順位は最終戦が終わって決まるもの。ここからは、奇跡を起こせるようなパフォーマンスが出せるかどうかにかかっている」

前半36分、見事な先制点を決めたFWマルコ・トゥーリオは、唇を噛んだ。
「ゲームについてひとことで言うなら『本当に残念』。でも、まだ希望を捨ててませんし、最後までタイトル争いに参加していきたい」
ベテランの太田も、視線をすでに次へと向けていた。
「ワンプレーに対する重みを、優勝争いするチームは見逃さないとあらためて感じた。3連勝を目指して切り替えていく。残りのサッカー人生かけるつもりでやる」

「亀岡の悲劇」——。
だが、指揮官が言及したように、それを悲劇のまま終わらせるかどうかは、自分たち自身にかかっている。
この日の悔しいドローは、京都サンガF.C.がいずれ〝真の強者〟へと脱皮するために必要な通過儀礼なのかもしれない。
残り3試合。
未来を信じる戦いが始まる。

参照
* 明治安田J1 第35節 2025年10月25日 鹿島アントラーズ戦 マッチレポート | 京都サンガF.C.|オフィシャルサイト
* 【京都】曺監督「亀岡の悲劇」痛恨ドローでV遠のくも「経験不足は経験しないと」残り3戦全集中 – J1 : 日刊スポーツ
* 【記事全文】悲劇の幕切れ…京都のロッカルームに響いたMF斉藤未月の言葉“まだまだこっから” – スポニチ Sponichi Annex サッカー
* 京都、鹿島にラストプレーで同点許す 曺貴裁監督「最後のワンプレーは、生きている間ずっと僕の脳裏を離れない」亀岡の悲劇 – スポーツ報知
* 京都、鹿島にラストプレーで同点許す 曺貴裁監督「最後のワンプレーは、生きている間ずっと僕の脳裏を離れない」亀岡の悲劇 – スポーツ報知

【J1第34節】湘南ベルマーレ 1-1 京都サンガF.C.

湘南ベルマーレ 1-1 京都サンガF.C.
日時:2025年10月19日(日)15:03KO
会場:神奈川県平塚市平塚競技場”レモンS”(1万1,688人/曇 22.1℃ 61%)
主審:今村義朗
29′-湘南/鈴木章斗
※36′-京都/原大智PK失敗
90+10′-京都/須貝英大(ヘッド←山田)

■湘南ベルマーレ(3-4-2-1)
GK31:真田幸太
DF66:松本大弥
DF4:舘幸希
DF8:大野和成
MF37:鈴木雄斗
MF15:奥野耕平
MF25:奥埜博亮(90+4′-MF13:平岡大陽)
MF47:中野伸哉
FW7:小野瀬康介(71′-MF18:池田昌生)
FW9:小田裕太郎(82′-FW72:二田理央)
FW10:鈴木章斗(82′-FW29:渡邊啓吾)

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK26:太田岳志
DF2:福田心之助(75′-MF27:山田楓喜)
DF24:宮本優太
DF50:鈴木義宜(※45+1′-一発退場)
DF22:須貝英大
MF16:武田将平(46′-MF44:佐藤響)
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス
MF39:平戸太貴(64′-FW93:長沢駿)
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(64′-MF29:奥川雅也)
FW14:原大智
FW18:松田天馬(46′-MF48:中野瑠馬)

https://twitter.com/sangafc/status/1979873127107846538

【J1第33節】京都サンガF.C. 1-1 川崎フロンターレ

京都サンガF.C. 1-1 川崎フロンターレ
日時:2025年10月4日(土)19:03KO
会場:京都府立京都スタジアム “サンガS”(1万9,265人/曇 22.4℃ 86%)
主審:上村篤史
8′-川崎/伊藤達哉
38′-京都/須貝英大(右足←松田)

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK26:太田岳志
DF2:福田心之助
DF24:宮本優太
DF50:鈴木義宜
DF22:須貝英大
MF10:福岡慎平(11′-MF16:武田将平)
MF48:中野瑠馬(65′-MF25:レオナルド・ダ・シウヴァ・ゴメス “レオ・ゴメス”)
MF39:平戸太貴(85′-MF88:グスタヴォ・ボナット・バヘット)
MF29:奥川雅也(46′-MF27:山田楓喜)
FW14:原大智
MF18:松田天馬(65′-FW93:長沢駿)

■川崎フロンターレ(4-2-3-1)
GK1:チョン・ソンリョン
DF31:ファンウェルメスケルケン際
DF22:フィリップ・ウレモヴィッチ
DF5:佐々木旭
DF13:三浦颯太
MF19:河原創
MF8:橘田健人
MF17:伊藤達哉(85′-FW24:宮城天)
MF14:脇坂泰斗
MF23:マルシオ・アウグスト・ダ・シウヴァ・バルボーサ “マルシーニョ”(74′-MF41:家長昭博)
FW9:エリソン・ダニーロ・ヂ・ソウザ(74′-FW91:ラザル・ロマニッチ (88′-警告×2=退場))

痛み分けの価値はどれくらい

他会場の結果によって暫定2位に浮上しても、ベンチに笑顔はなかった。
曺貴裁監督は言う、「今日は勝点2を落としてしまったとみんなが捉えるべき」。
福田心之助は唇を噛む、「この時期の勝点1は、極端に言えば0に等しい」。
昨シーズンと比べれば2位なんて望外の結果とも思えるが、選手・スタッフともまったくあきらめていない。
ゆえに、悔しさが募る結果となった。

スペースを失い、停滞したダイナミズム

勝ち点3が取れなかったのは、ひとえに川崎の「京都対策」が周到だったからだろう。
具体的には、第一に「スペースの封鎖」。

京都の推進力は、走るサイドバックがつくる。
福田、須貝が高い位置を取り、幅と厚みを足していく——その十八番(おはこ)が、この日は出せなかった
川崎はボールを失えば一気に戻る。
サイドハーフのマルシーニョ、伊藤達哉までが最終ラインに吸い込まれるように下がり、5バック、6バックで外側のルートを閉じた。
京都はボールを保持しても外側からの追い越しがなく、川崎の守備ブロックを揺さぶるための有効な手段をひとつ封じられてしまったのだ。

また、オフ・ザ・ボールで選手が絶えず裏のスペースを狙う「縦に速いサッカー」も抑え込まれた。
前述の通りサイドのスペースを消され、中央も固められたことで、京都はボールの出口を見つけられずにいた。
福田いわく、「僕らの見ているところがいつもより単調だった。ボールを持てる時間が多くなった分、探す時間が多くて単調になってしまった」。
縦のルートが塞がれ、ブロック手前のパス交換が繰り返され、ときに無理な縦パスでボールを失う。
川崎が意図的にボールを持たせたことによって、京都はむしろリズムを崩したのだ。
前半11分、福岡の負傷で急遽投入された武田将平も言う。「ちょっと慌てるというか、攻め急ぐ、仕掛けが早過ぎる感じがあった」。

テクニックの前に空転したハイプレス

攻撃が停滞するならば、守備からリズムを作りたいのが京都のスタイル。
ボールを失った瞬間に即時奪回を狙うハイプレスは、チームの生命線である。

しかしこの日、川崎の技術の前にハイプレスが空転させられた。
特に中盤の橘田健人、脇坂泰斗は、京都の激しいプレッシャーを受けても慌てることなくボールをキープ。
巧みなターンや短いパス交換でプレスをいなし、いとも簡単に前を向いて攻撃の起点をつくった。
これにより、京都は「高い位置でボールを奪ってのショートカウンター」をまったく発動できなかった。

川崎の長谷部茂利監督が「試合の入りそのもの、プレーのほとんどがよかった」と振り返ったように、アウェイチームは京都の土俵で真っ向から渡り合った。
京都のプレッシングは、組織的な連携よりも勢いが優先されるきらいがある。
その隙を川崎の選手たちは的確に見抜き、個々のクオリティで上回ることで、京都の武器を無力化してみせたのだ。

遠かった「あと1点」

そんな苦しい流れの中、前半38分に京都らしい形から同点に追いつく。
平戸太貴の浮き球パスに奥川雅也が抜け出して裏を取り、中央へ折り返す。
ボールは松田天馬を経由し、最後に走り込んできたのはSBの須貝英大だった。
試合を振り出しに戻した須貝は、「サイドバックがあのような場面でゴール前に顔を出すところは自分の良さでもあるので、それをやり続けた結果」と胸を張った。

この一撃はあったものの、前半全体の出来は決してよくなかった。
曺監督はハーフタイムに「サイドからしっかりポケットを取るような動きの中でボールを入れていかないとわれわれのよさも出ない」と、攻撃の狙いをあらためて選手たちに徹底。
後半はボールの動かし方もやや改善され、チャンスの数は増えたが、相手に退場者が出て数的優位に立った後も、最後まで勝ち越しゴールは奪えなかった。
勝利に必要な「あと1点」が遠かった。

「よい内容だからよかったなと思う試合じゃない。どうして勝ち切れなかったのか、みんなで反省しなきゃいけない」と武田。
川崎が見せたように、シーズン最終盤、相手は徹底的に京都の長所を消しにかかってくるだろう。
相手の対策を上回り、自分たちのサッカーを貫き通せるか。
まだ見たことない景色へ……。
真価が問われる残り5試合となる。