京都サンガF.C. 1-1 川崎フロンターレ
日時:2025年10月4日(土)19:03KO
会場:京都府立京都スタジアム “サンガS”(1万9,265人/曇 22.4℃ 86%)
主審:上村篤史
8′-川崎/伊藤達哉
38′-京都/須貝英大(右足←松田)
■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK26:太田岳志
DF2:福田心之助
DF24:宮本優太
DF50:鈴木義宜
DF22:須貝英大
MF10:福岡慎平(11′-MF16:武田将平)
MF48:中野瑠馬(65′-MF25:レオナルド・ダ・シウヴァ・ゴメス “レオ・ゴメス”)
MF39:平戸太貴(85′-MF88:グスタヴォ・ボナット・バヘット)
MF29:奥川雅也(46′-MF27:山田楓喜)
FW14:原大智
MF18:松田天馬(65′-FW93:長沢駿)
■川崎フロンターレ(4-2-3-1)
GK1:チョン・ソンリョン
DF31:ファンウェルメスケルケン際
DF22:フィリップ・ウレモヴィッチ
DF5:佐々木旭
DF13:三浦颯太
MF19:河原創
MF8:橘田健人
MF17:伊藤達哉(85′-FW24:宮城天)
MF14:脇坂泰斗
MF23:マルシオ・アウグスト・ダ・シウヴァ・バルボーサ “マルシーニョ”(74′-MF41:家長昭博)
FW9:エリソン・ダニーロ・ヂ・ソウザ(74′-FW91:ラザル・ロマニッチ (88′-警告×2=退場))
痛み分けの価値はどれくらい
他会場の結果によって暫定2位に浮上しても、ベンチに笑顔はなかった。
曺貴裁監督は言う、「今日は勝点2を落としてしまったとみんなが捉えるべき」。
福田心之助は唇を噛む、「この時期の勝点1は、極端に言えば0に等しい」。
昨シーズンと比べれば2位なんて望外の結果とも思えるが、選手・スタッフともまったくあきらめていない。
ゆえに、悔しさが募る結果となった。
スペースを失い、停滞したダイナミズム
勝ち点3が取れなかったのは、ひとえに川崎の「京都対策」が周到だったからだろう。
具体的には、第一に「スペースの封鎖」。
京都の推進力は、走るサイドバックがつくる。
福田、須貝が高い位置を取り、幅と厚みを足していく——その十八番(おはこ)が、この日は出せなかった
川崎はボールを失えば一気に戻る。
サイドハーフのマルシーニョ、伊藤達哉までが最終ラインに吸い込まれるように下がり、5バック、6バックで外側のルートを閉じた。
京都はボールを保持しても外側からの追い越しがなく、川崎の守備ブロックを揺さぶるための有効な手段をひとつ封じられてしまったのだ。
また、オフ・ザ・ボールで選手が絶えず裏のスペースを狙う「縦に速いサッカー」も抑え込まれた。
前述の通りサイドのスペースを消され、中央も固められたことで、京都はボールの出口を見つけられずにいた。
福田いわく、「僕らの見ているところがいつもより単調だった。ボールを持てる時間が多くなった分、探す時間が多くて単調になってしまった」。
縦のルートが塞がれ、ブロック手前のパス交換が繰り返され、ときに無理な縦パスでボールを失う。
川崎が意図的にボールを持たせたことによって、京都はむしろリズムを崩したのだ。
前半11分、福岡の負傷で急遽投入された武田将平も言う。「ちょっと慌てるというか、攻め急ぐ、仕掛けが早過ぎる感じがあった」。
テクニックの前に空転したハイプレス
攻撃が停滞するならば、守備からリズムを作りたいのが京都のスタイル。
ボールを失った瞬間に即時奪回を狙うハイプレスは、チームの生命線である。
しかしこの日、川崎の技術の前にハイプレスが空転させられた。
特に中盤の橘田健人、脇坂泰斗は、京都の激しいプレッシャーを受けても慌てることなくボールをキープ。
巧みなターンや短いパス交換でプレスをいなし、いとも簡単に前を向いて攻撃の起点をつくった。
これにより、京都は「高い位置でボールを奪ってのショートカウンター」をまったく発動できなかった。
川崎の長谷部茂利監督が「試合の入りそのもの、プレーのほとんどがよかった」と振り返ったように、アウェイチームは京都の土俵で真っ向から渡り合った。
京都のプレッシングは、組織的な連携よりも勢いが優先されるきらいがある。
その隙を川崎の選手たちは的確に見抜き、個々のクオリティで上回ることで、京都の武器を無力化してみせたのだ。
遠かった「あと1点」
そんな苦しい流れの中、前半38分に京都らしい形から同点に追いつく。
平戸太貴の浮き球パスに奥川雅也が抜け出して裏を取り、中央へ折り返す。
ボールは松田天馬を経由し、最後に走り込んできたのはSBの須貝英大だった。
試合を振り出しに戻した須貝は、「サイドバックがあのような場面でゴール前に顔を出すところは自分の良さでもあるので、それをやり続けた結果」と胸を張った。
この一撃はあったものの、前半全体の出来は決してよくなかった。
曺監督はハーフタイムに「サイドからしっかりポケットを取るような動きの中でボールを入れていかないとわれわれのよさも出ない」と、攻撃の狙いをあらためて選手たちに徹底。
後半はボールの動かし方もやや改善され、チャンスの数は増えたが、相手に退場者が出て数的優位に立った後も、最後まで勝ち越しゴールは奪えなかった。
勝利に必要な「あと1点」が遠かった。
「よい内容だからよかったなと思う試合じゃない。どうして勝ち切れなかったのか、みんなで反省しなきゃいけない」と武田。
川崎が見せたように、シーズン最終盤、相手は徹底的に京都の長所を消しにかかってくるだろう。
相手の対策を上回り、自分たちのサッカーを貫き通せるか。
まだ見たことない景色へ……。
真価が問われる残り5試合となる。