【J1第32節】セレッソ大阪 1-2 京都サンガF.C.

セレッソ大阪 1-2 京都サンガF.C.
日時:2025年9月28日(日)18:33KO
会場:大阪府大阪市長居球技場(2万1,935人/雨のち曇 26.4℃ 69%)
主審:椎野大地
44′-京都/松田天馬(右足←CK:平戸)
57′-C大/ディオン・クールズ
87′-京都/長沢駿(ヘッド←CK:山田)

■セレッソ大阪(4-2-1-3)
GK1:福井光輝
DF27:ディオン・クールズ
DF31:井上黎生人
DF44:畠中槙之輔
DF66:大畑歩夢
MF8:香川真司(82′-MF35:吉野恭平)
MF10:田中駿汰
MF48:柴山昌也(82′-FW13:中島元彦)
FW77:ルーカス・フェルナンデス(25′-MF19:本間至恩)
FW9:ハファエル・ホジェリオ・ダ・シウヴァ “ラファエル・ハットン”(88′-FW55:ヴィトール・フレザリン・ブエノ)
FW11:チアゴ・エドゥアルド・ヂ・アンドラーヂ(88′-DF22:髙橋仁胡)

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK26:太田岳志
DF2:福田心之助
DF24:宮本優太
DF50:鈴木義宜
DF22:須貝英大(59′-MF44:佐藤響)
MF10:福岡慎平(75′-FW93:長沢駿)
MF6:ジョアン・ペドロ・メンデス・サントス(59′-MF48:中野瑠馬)
MF39:平戸太貴(75′-MF25:レオナルド・ダ・シウヴァ・ゴメス “レオ・ゴメス”)
MF18:松田天馬
FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”(25′-MF27:山田楓喜)
FW14:原大智

That’s The Way (We Like It)

試合開始からわずか25分。
背番号9がピッチ外へ運ばれる光景を前に、京都陣営には重い空気がのしかかった。

とはいえ、絶体絶命の状況も、京都サンガF.C.というチームの真価を証明する舞台に過ぎなかった。
ピッチ上の誰もは下を向かず、むしろ「自分たちがやるしかない」と覚悟を決めたかのように顔を上げる。
先制点、そして終盤の劇的な決勝ゴール。
曺貴裁監督が「全員で勝った勝利」というように、チームの総合力でつかみ取った本当に価値ある勝ち点3だった。
そして、その一体感こそ、サポーターにとって何より胸を打つものかもしれない。
すばらしいゲームだった。

思いの強さ、揺るがずに

前半終了直前の44分、得たコーナーキック。
平戸太貴が蹴った低い弾道は、ニアで待つ須貝英大の足元へ。
彼が背後へ流すと、走り込んだのは松田天馬。
計算された動きから放たれたシュートが、ゴールネットを鮮やかに揺らす。
偶然ではない。用意された必然のゴールだ。
試合後、松田は確信をもって語った。
「みんなの協力なしでは絶対に決められなかった。コーチングスタッフも含めて『これぞ京都サンガ!』というゴールだったと思います」
先制弾は、逆境の中で己のアイデンティティを取り戻したチームの、力強い〝咆哮〟でもあった。

しかし、後半57分、京都はセットプレーから同点弾を浴びる。
試合は振り出しとなり、スタジアムの空気は明確にホームのセレッソへ傾いた。
今季、過去2回の対戦で味わった逆転負けの記憶が、悪夢のように蘇る。
曺監督はこの時間帯をこう述懐している。
「あそこで『優勝』という文字を忘れていたら、おそらくやられていたと思います。選手たちは僕が思っている以上に『優勝したい』と思ってピッチに立って戦っていることがきょうハッキリ分かった」

監督が信じた選手たちの思いは、プレーとして立ち上がる。
誰もがもう一歩足を出し、体を張る。
「ピンチの場面でもディフェンスが体を投げ出すプレーが多かったと思いますし、それがサンガらしさ」(曺監督)。
「みんなが体を張って耐えられることが、いまの京都の強さ」(松田天馬)。
再三、身を挺して突破を阻んだ宮本優太も「押し込まれる時間も長かったですけど、うまくみんなでコミュニケーションを取りながら守れた」と振り返った。
劣勢でも前へ出る姿勢は、シーズンを通して積み上げてきたものだ。

試合を決めたベテランの一撃

試合は終盤、1-1のまま、やや膠着状態に入る。
引き分けが現実味を帯び始めた後半42分、サンガはCKを得る。
ここで、途中投入のベテラン——背番号93、長沢駿が結果を残した。
山田楓喜がニアへ送ったボールに、フリーで飛び込む。
完璧なタイミングで捉えたヘディングは、GKの手を弾いてゴールに突き刺さった。
劇的な決勝弾。
ベンチから選手が飛び出し、ゴール裏のサポーターは抱き合い、歓喜が弾ける。
殊勲の37歳は、ヒーローインタビューで多くを語らない。
だが、その一言一言に人柄とチームへの想いが凝縮されていた。
「決められて良かったです。でも、僕のゴールというよりかは、みんなのゴールだと思います。みんながつないでくれてCKを獲得して、よいボールを上げてくれてのゴールだったので。みんなに感謝しています」

タイムアップの笛が鳴り、選手たちはピッチで歓喜した。
単なる勝ち点3ではない。
エース不在という最大の危機を、チーム一体で乗り越えたという揺るぎない事実。
チームがまた一段、強くなった瞬間だった。
試合後、曺監督は万感を込め、この勝利を総括する。
「交代で出た選手も含めて全員で勝った勝利ということで、監督として非常にうれしい。私も選手もクラブも全員で頂点を目指すということは、きょうの試合で証明できたと思います」

長沢は言った。
「(優勝と言われることを)よいプレッシャーだと捉えて、きょうみたいに戦っていければ食らいついていけるはずです」
残り6試合。これから立ち向かう重圧は計り知れない。
しかし、この日のピッチに刻まれた〝不屈〟の90分間は、紫の戦士たちがさらなる困難をも乗り越えていけると期待させるに十分だった。

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