京都サンガF.C.1922 1-0 東京ヴェルディ1969
日時:2025年8月16日(土)19:04KO
会場:京都府立京都スタジアム “サンガS”(1万8,300人/雨 27.7℃ 88%)
主審:福島孝一郎
66′-京都/ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”(左足←原)
■京都サンガF.C.1922(4-1-2-3)
GK26:太田岳志
DF2:福田心之助
DF5:アピアタウィア久(79′-DF3:麻田将吾)
DF50:鈴木義宜
DF22:須貝英大(63′-DF44:佐藤響)
MF10:福岡慎平
MF25:レオナルド・ダ・シウヴァ・ゴメス “レオ・ゴメス”(63′-MF48:中野瑠馬)
MF39:平戸太貴
FW11:マルコ・トゥーリオ・オリヴェイラ・レモス(56′-MF27:山田楓喜)
FW9:ハファエウ・エリアス・ダ・シウヴァ “パパガイオ”(79′-MF18:松田天馬)
FW14:原大智
■東京ヴェルディ1969(3-4-2-1)
GK1:マテウス・カウデイラ・ヴィドット・ヂ・オリヴェイラ
DF6:宮原和也
DF2:深澤大輝
DF3:谷口栄斗
MF19:松橋優安(63′-MF17:稲見哲行)
MF7:森田晃樹
MF16:平川怜
MF40:新井悠太(79′-FW38:唐山翔自)
FW8:齋藤功佑(63′-FW71:平尾勇人)
FW14:福田湧矢(72′-FW25:熊取谷一星)
FW9:染野唯月(72′-FW45:寺沼星文)
ウィニングパターン・レコグニション
26節を終わって、首位 (;・`д・́)…ゴクリ
前半やや押されるも、後半盛り返し、最後は決定力の差が出たという結果だろうか。
そして、今シーズンはもう対戦がないからか、ゲーム後の両指揮官・選手のコメントに核心をつく内容が多く、興味深かった。
ちょっとまとめておこう(俺用メモ)。
▼前半
試合後の曺さんいわく、「相手のディフェンスやボランチに早く食いついて、(東京Vの)シャドーをフリーにしてしまった」。
東京Vがシャドーをうまく使って「縦ズレ=ライン間でのボール受け」&「横ズレ=レーン移動」で、ボールを動かしゲームを支配する。
京都は3トップ+2インサイドハーフ(IH)のハイプレッシャー(”前プレ”)が空転。
5人の背後=アンカー脇のハーフスペースに起点をつくられ、守備のために背走することもしばしばだった。
もちろん、こうした狙いがうまくいったのは東京Vボランチコンビのテクニックがあってこそ、なのは間違いない。
森田晃樹、平川怜はともキープ力とパス力があり、相手からのプレッシャーを受けても簡単にはボールを奪われない技術をもっていた。
なお、東京Vの”戦術的な設計”は下記の通り。
①CFの裏抜けで、京都最終ラインを”ピン留め”
——「自分が裏を狙い続けることで、(齋藤・湧矢ら)シャドーや中盤が空く」(染野唯月のコメントより)。
染野が「裏を狙い続ける」ことで京都CBを下げさせ、京都の3トップ+インサイドハーフと最終ラインの“間(ギャップ)”を拡大。
結果として、東京Vのシャドーや中盤の選手がフリーで前を向ける状況を意図的につくられた。
城福さんも試合後、スペースメイクのため裏へのボール、長いボールを活用したと言及している。
②ハーフスペースの占有で、京都の”プレスの矢を折る”
——「相手のアンカー脇を使うことは、前半狙いどおりにやれていた」(福田湧矢のコメントより)。
東京Vのシャドーの選手が京都のアンカー・福岡の両脇に降りることで縦パスを入れるコースが生まれ、京都の”前プレ”から逃げ道ができた。
京都としては、前向きに守備に出た背後をうまく使われた。
③シャドーのファジーな位置取りで、大外レーンも”制圧”
——「相手は4バックなので、どうしてもシャドーの選手は捕まえづらい」(同じく、福田湧矢のコメントより)。
SBが高い位置まで進出して相手にプレッシャーをかけ、ボールを奪えたそのまま攻撃に転じるのが、京都の特徴。
そこで、東京Vのシャドーたちは立ち位置を意識することで、京都のSBに対して「シャドーを捕まえるのか、あるいはウイングバックを捕まえるのか」迷わせるようにしたとのこと。
前半43分、東京Vの超決定機(松橋のダイビングヘッド)は太田のグッドセーブに助けられたものの、ここで先制されていたら、試合結果はどうなっていたかわからなかった。
▼後半
ハーフタイムで、京都が修正を加える。
プレスの深追いを抑え「横パスを誘って”その次のボール”を狙う」ように切り替えたのだ。
具体的には、ボールホルダーへのハイプレスを控えつつ、京都インサイドハーフの2人がアンカー脇・ハーフスペースをケア。
東京V中盤の自由度を削ぎ、主導権を奪回した。
原大智も「守備のやり方を変えて自分たちの時間が増えた」と振り返っている。
そして、66分に先制して以降、東京Vのゴール期待値(xG)の伸びは小刻み(前半終了時で0.9弱、試合トータルで1.11)。
この数字は、後半は東京Vがボールは保持すれど、厚みのあるフィニッシュまでには繋げられなかったことを示唆しているだろう。
79分、アピアタウィア久の負傷(足を攣った)を受けて、麻田・松田天馬を投入。
強度と走力を再充填して、終盤までコンパクトさを維持して守り切った。
曺さんの試合後のコメント、
「ハーフタイムに少し修正したことがうまくいった」
「戦術的にもすごく大人の試合ができた」
という言葉どおりの後半だったかなと思う。
京都の特徴であるハイプレス一辺倒ではなく、ハイプレスをある程度「捨て」、実利を取った。
その結果の勝ち点3、と言えるだろう。
「勝ち筋」をいくつも持っていることはいいことだ。
いいゲーム内容だったとは言えないかもしれないけれど、チームとしての成熟を感じた一戦だった。