- 2011 年 3 月 18 日 11:59 PM
- 書籍一般
■小説を書く猫
驚いた。
中山可穂さんが京都に引っ越していた。
それも、左京区修学院。
おれの生まれ育ったところの近くじゃん!
「初のエッセイ集」である、この本。
最後の章に、京都に引っ越した顛末、そして起きた事件が綴られている。
横浜のマンションを立ち退かなければならなくなり、関西方面への転居を考えた。
京都にしぼって数多くの物件を探し回り、ようやく見つけた。
そうしていま、京都で暮らし、小説を執筆をしているという。
縁もゆかりもない京都に引っ越してきた。
そんな人間にとって、京都人の印象はやっぱり以下のようなものらしい。
「言われた瞬間は気づかなくても、あとからボディブローのようにじんわり効いてくる京都人特有のいけずは、もはや無形文化財の域に達しているのではないかと思われるほどである」(149p)
うーむ、あるある…。
しかし、ページをめくると
「ただのいけずかと思ったら、意外に味があったりして、本当に一筋縄ではいかないところがあって面白い。
おそらく自分の中にも京都人的なるものが潜んでいるからこそ、わたしは今ここにいるのだろう」(177p)
という、ツンデレな記述もあったりして。
しゃれたカフェやパン屋、本屋さんがあり、自然も多い「京都ライフ」に、ある程度満足いただいているようだ。
そういえば、「京都市左京区」にカフェ、パン屋、レストランが増えたのは、いつからだろう?
だって、20年前には、ガケ書房はなかったし(2004年オープン)、恵文社はごくふつうの本屋だった。
恵文社がある一乗寺の商店街に、おしゃれなカフェやレストランなんて一軒もなかった。
ラーメンストリートができる気配なんて、これっぽっちもなかった。
おれの中の、商店街の印象といえば、ちょっと外れたところにある染色工場。
工場の排水溝から川に流れる、紫の水。
染料独特の、すっぱいような薬くさい臭い。
あれだ。
時代は過ぎて、いまではサブカル臭あふれる「京都の下北沢」だとかいわれる成り上がりぶり。
「hanako 関西」が生まれ、「Lマガジン」がそっち路線に転向し、「ozマガ」とか東京の雑誌が京都特集を繰り返した。
そのあたりから、積極的に「しゃれおつ(←おしゃれ、を逆読みしたことば)」なものがフィーチャーされだした。
そうした文化が尊重され、やがて街が生まれ変わりだした…のかもしれない。
今では、小説家や文化人を引き寄せるまでに至ったと。
愛読するシミタツ(志水辰夫)大先生も京都に拠点を移された。
同じく中山さんも。
おれは別に、ただその地に生まれただけ。
2人の作家さんの転居とはまったく関係ないんだけど、なんだかうれしい気分でいる。
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