- 2010 年 8 月 31 日 10:00 PM
- 書籍小説
■ジーザス・サン (エクス・リブリス)
ジミ・ヘンドリクスのギターに影響を受けて文章を書きはじめたという、ミュンヘン生まれのデニス・ジョンソン。
彼の出世作であるこの短編集は、自身が「ジャンキー」だった経験を生かしてか、完全にヤバい人たちの生き様を描いている。
酒を飲んで、ドラッグをやる。
銃を撃つ、人を殺す。
そんな描写が、淡々と続く。
村上春樹の「月曜日は最悪だとみんなは言うけれど」にて並列で紹介されている関係で、どうしてもトム・ジョーンズの小説と比較してしまう。
トム・ジョーンズの登場人物は「神経症」だが、デニス・ジョンソンの登場人物は「ジャンキー」。
その違いはあるけど、人生をあっけなく生きている人を描いているという意味で似ているのは間違いない。
●いっしょにいた連中は、みんな俺たちの仲間だったが、ときとりポケットミラーを奴の鼻の下にあてては、鏡にちゃんと細かいもやが浮かぶことを確かめた。ところが、そのうちに奴らは彼のことを忘れてしまい、誰も気づかないうちに呼吸が止まった。奴はあっさり息絶えた。奴は死んだ。
俺はまだ生きてる。50p(「保釈中」より)
●俺が24歳の誕生日、2人で喧嘩していたとき、ミシェルはキッチンを出て、ピストルを持って戻ってきて、テーブルの向こう側から俺めがけて5発撃った。でも弾は当たらなかった。彼女が求めていたのは俺の命じゃなかった。もっとそれ以上のものだった。俺の心臓を喰らって自分の為した行ないを抱えて砂漠に埋もれることを彼女は欲した。ひざまずいてその行ないから生を生み出すことを彼女は欲した。子供が母親によってのみ傷つけられうるやり方で俺を傷つけることを彼女は欲した。114p(「ダーティ・ウェディング」)
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