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本多孝好「WILL」(**)

WILL
WILL

2002年に発刊された「MOMENT」の”数年後の世界”を描いた作品。
前作では主人公だった男子大学生・神田がサブキャラクターに、前作ではサブキャラクターだった女性で葬儀店を営む森野が主人公になっている。
物語の構造も「MOMENT」同様で、主人公が出来事に”巻き込まれて”それを解決してあげる…いわゆる、「日常の謎型」と呼ばれるミステリですな。

でもって、たぶんこの作品を楽しく読めるかどうかは、主人公である森野に感情移入できるかどうかが大きいだろう。

あまり感情を表にしない。
学生時代から他者とうまくコミュニケーションが取れなかった。
一見、ぶっきらぼう。
男性のような乱暴な話し方をする。
そんな性格だが、暖かく見守ってくれる男性がいる…。

このキャラクターに思いを寄り添うことができる読者というのは、きっと
「自分がどこか周囲になじめないと思っているような、コミュニケーション能力に欠けた人間。でありながら、自分を”まるごと無条件に”理解してくれる人間がどこかにいると信じたい」
みたいな。
うーん、つまりおれもみたいなヤツだな!と。
そう思える人なら、いい話だなーと思えるんじゃないか。

正直センチメンタルすぎる、感傷的すぎると言わざるをえないパートもある。
けっこう、人を選びそうな作品。

★伝えきれない言葉がもどかしかった。
大事な人を失ったとき、人の中に生まれるのは感情と呼べるようなものではない。
少なくとも私はそうだった。
それにどんな名前をつけるのかは、人によっていろいろだろう。
私ならば絶情と名づける。
悲しみならば癒せる。
けれど、それは感情を絶たれたその先にある。
その人の中にありながら、その人の支配を超えた場所で、その人を支配する。
ただ大きな、強い何かだ。(14p)

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