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加藤政洋「敗戦と赤線〜国策売春の時代」(***)


敗戦と赤線 (光文社新書)
敗戦と赤線 (光文社新書)


ソープランドってありますな。
ルートコ。
日本では売春は許されてないはずなのに、ソープではできる。
なんで?
ソープランドはあくまで「特殊な個室浴場」。
女の人が中で待っている。
「どもども」と男性客がやってくる。
風呂で、女が男に身体を洗ってあげる。
裸の男と女は、とっさにむらむらっとする。
「こと」におよぶ。
終わると、男は文字通り「すっきり〜」。
身体を洗ってもらったことに感謝の気持ちで対価を払う。
女はお見送り。
お店は、入店時に男からお金をもらってるがそれは「入浴料」。
部屋のなかで何が行われたのかは関知しない。
そういうロジック。

このスペシャルな、まわりっくどいシステム。
その始まりは、戦後の「国策売春」にあった!
…という事情を追いかけたのが本書。

戦前の日本では、「遊郭」というカタチで売春街が存在した。
昭和7年、1932年時点で、全国で532か所あったとか。
そして、戦後。
空襲で遊郭はつぶれたりした。
昭和21年には、GHQが「公娼(公に認められた娼婦)」をやめてね、と通達した。
なのに。
昭和32年時点で、全国で売春が行われていたエリアは1867か所に!
戦前の3倍以上!
伸びすぎ!

なぜ、こんなに「売春街」が増加したのか?
その発端は、終戦直後の昭和20年8月18日。
内務省が、警視総監、各警察に向けて
「日本の女子を守るぜ!
つきましては、外国軍が駐屯する地区には”性的慰安施設”を積極的につくってよーん」
と通達したのだ。
つまり。
外国軍=駐屯軍がやってきたら、周りにいる日本女子が「喰われ」ちゃう。
やべぇ!
じゃあ、お金で身体を売る女を配置しとこうよん。
その女たちに、進駐軍男子の性欲を吸い取ってもらおう(キリッ)。
…っていう、フェミニズム論者ならぶっ倒れそうな考え。

でもって、戦前に娼婦だった女性などがかき集められた。
さらに、戦前に遊郭を経営していた人間たちには、政府から融資がなされた。
物資が不足する中、東京都は布団を払い下げたりしたとか。
どんだけ!

翌年、GHQが「公娼やめろ」通達をする。
じゃ、ということで、政府は「元遊郭」を自主的に廃業させる。
でも、「自由意志で売春する娼妓だったら、仕事続けていいよん」という逃げ道を作ったのだった。
筆者は

公娼制度の存置に代わる私娼の黙認制度、すなわち国策として売春を維持した

って書いてますが、まさに売春が「黙認」されたカタチです。

そのあと、昭和33年の「売春防止法」施工まで、日本全国で「売春街」が発展したり、新しく生まれた。
本書では、東京、岐阜、京都、沖縄での事例が紹介されている。
「一攫千金」を狙う人間がちが売春街を設置したり。
「都市発展のため」売春街を設置した例があったり。
戦後日本の都市開発に、かなーり営業があったということがわかります。

そんな感じで、今の”ソープランドシステム”に通じる「国家の売春黙認」についてよくわかる本でした。
けしからんと思うか、日本人らしーなと思うか、反応はいろいろ…かな。

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