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彼女の手首

むかし好きだったコは、小さなカラダに似合わない男物の腕時計をしてました。
「わたし、ゴツいのが好きなんだ」
ということばを真に受けて、いいセンスをしてるなぁとよりいっそう好きになってしまったわけですが、いやいや。
彼女は男物の腕時計をしなければならなかったんです。
手首にあるキズを隠すために——。

そんなことを、本屋さんで加護ちゃんのエッセイ集を立ち読みしたときに思い出したのでした。
太い傷跡が入った手首を満面の笑みで見せつける加護ちゃん。
どん引きしてしまいそうで、でも、かわいそうで、なおかつ、いとおしい。
リストカッターの手首を見るたびにフクザツな気持ちになりつつも、なんだかけっして悪く言ったりはできない自分がいる。
痛々しさがもつチカラ。

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