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佐藤多佳子「黄色い目の魚」(****)


黄色い目の魚
黄色い目の魚

◇出版社: 新潮社 ; ISBN: 4101237344 ; (2005/10)

内容(「BOOK」データベースより)
海辺の高校で、同級生として二人は出会う。周囲と溶け合わずイラストレーターの叔父だけに心を許している村田みのり。絵を描くのが好きな木島悟は、美術の授業でデッサンして以来、気がつくとみのりの表情を追っている。友情でもなく恋愛でもない、名づけようのない強く真直ぐな想いが、二人の間に生まれて―。16歳というもどかしく切ない季節を、波音が浚ってゆく。青春小説の傑作。



カバーイラストがイマドキの高校生カップルですが、中身は全然違う!
JAROに訴えたいぜ!

それはさておき、内容はとっても甘酸っぱい。
バリバリ青春小説です。
サッカーと絵だけしか興味がない木島悟。
イラストレータの叔父にしかコミュニケーションをとる相手がいない村田みのり。
2人の恋愛が、その人生とからめて語られていきます。

学校で周囲にあまりとけ込めない男女のラブストーリー。
って言っちゃえばありきたりな話っぽいんだけど、でもそうじゃない。
2人のこころのうちが、丁寧に描写されていって、それがいちいちいいんだ。
1ページごとに胸を打つようないいシーンが連続している。
せつなさのバーゲンセール。

とくに、章ごとに視点が悟とみのり、交互に代わっていくところ。
これがミソなんです。
悟がみのりのことを気になりはじめて…。
みのりのほうも表情には出さないけれど悟が気になって…。
ウブで奥手な2人のピュアな恋心が、ゆっくりとゆっくりと大きくなって、押さえつけられないものになっていく。
そのさまがじっくり描かれていきます。

んで、小説であるからして、もちろん2人に仲を裂くような出来事がある。
そして、2人の家族や友人など、魅力的なキャラクターたちによるエピソードもいろいろ。
つまり、物語としての楽しさがぎゅーっと詰まってるというわけですよ。

ちょっと甘酸っぱすぎるきらいもあるので、人によっては受け付けない人もいるかもしれない。
どちらかというと女性向け。
でも、男のおれもかなり夢中になって読めた本でした。

★なんだか、がっかりした。やっぱり伝わらないなと思った。二人から視線を離して、自分のことばを確かめるように胸の中で繰り返した。「好き」ということばを見つけて、ドキドキした。絵が好き。すごくすごく好き。美術の時間、木島の絵を見ながら、ずっとずっと感じていた思い。

 キライばかりの心の中に、こんなに大きな「好き」があったのか。まるでマグマみたいに熱くてどろどろしていて恐ろしげだけれど。雲みたいにつかみどころがなくて、しっかり足を乗せて立つ場所にはならないけれど。熱くて不安定な気持ちに動かされて、身体までぐらぐらと揺れそうな気がしてきた。(149P)

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