- 2005 年 7 月 21 日 2:41 AM
- 書籍小説
■兇眼
出版社: 徳間書店 ; ISBN: 4198922527 ; (2005/06)
1996年の作品(現在店頭在庫のみ)がやっとこさ文庫化。
って、すげぇや!!!!
デビュー作の「灰姫 鏡の国のスパイ」と最新刊の「ぼくが愛したゴウスト」は未読なんですが、それを除いて俺的打海ベスト。
んで、ことし読んだ小説でベスト。
ストーリーをカンタンにご紹介しましょ。
――リバーサイドの高層マンションでルポライターの洞口が殺された。
死体発見者は同じマンションに住む作家・夏子。
彼女は、マンションの警備員で暗い過去をもつ男性・武井を巻き込んで、殺人の真相に迫ろうとする。
手がかりは、洞口が死の直前まで調べていた宗教団体の存在。
その団体は数年前に教祖と信者が集団自殺し、そして、残された信者の子供たちが姿を消していたのだった。
殺された洞口と、姿を消した子供たち、その裏には隠されているものは何か?
そして、事件を調べるうち没頭していく武井の心の中にあるものは?
とにかく、打海作品に頻出するところの「大人な子供」が大いに味わえるのがうれしい。
子供が子供なりに人生経験を積んで、大人が対等な会話をし、それが決まっている。
また、武井という男の「過去」がまたこのサクシャじゃないと書けねーだろと思うエピソードでまたイイ。
周りをとりまく人間もキャラ立ちしてて、愛しい。
馳星周が「私にはこんな人間は書けない」と打海作品を評して言っていたが、この味わいは確かに他では楽しめない。
「純文学ミステリ」とでもいいますか。
そして、ラストはどこか映画的。
小説にしては「安っぽい」という批判なら甘んじて受けよう、って俺が受けても意味ないが…。
「そうだよ、そうこなくっちゃなぁ!」とうなづいてしまったのだった。
打海文三で何を読めばいいですか?――と問われるなら、とりあえずコレ!
文庫だし、分量も適度だしね。
そーいや、ネタバレになでくわしくは書けないけど、天童荒太のベストセラー「永遠の仔」と似た雰囲気も感じた。
「兇眼 EVIL EYE」に出てくる子供たちを主人公にして、アレをアレしてあーしてこーしていけば「永遠の仔」って感じ。
「兇眼 EVIL EYE」が96年刊、「永遠の仔」が99年刊だから、歴史を3年先取ってた!?
■永遠の仔〈上〉
抜書き。
★その清流を耳川という。p.99
★「傷つけるって、愛することと同義なのよ」/「ばかげたロジックだ。愛と名づければなんでも説明がつくことになる」p.119
★引き返し不能地点にきちゃったわけだから、まず小休止、前途多難な道をゆくのはそれがおわってからでしょ? p.151
★……侮蔑と愛しさのあいなかばする双眸(そうぼう)が、彼の額の裏で一瞬かっと見ひらいて消えた。p.211
★「おまえ、ブスに生まれてきたのに、えらいよな、尊敬してる」p.326
★それでも人生にイエスと言うには、待ってくれる人の存在が、心のささえになるといいます。……p.364
※過去ログ
親本の発売順に。
■「灰姫 鏡の国のスパイ」(未読)
■Sex & Books & Football – 打海文三「時には懺悔を」(***)
■「されど修羅ゆく君は」(coming soon…)
■Sex & Books & Football – 打海文三「兇眼 EVIL EYE」(*****)
■Sex & Books & Football – 打海文三「苦い娘」(****)
■Sex & Books & Football – 打海文三「そこに薔薇があった」(***)
■Sex & Books & Football – 打海文三「ロビンソンの家」(*****)
■Sex & Books & Football – 打海文三「ハルビン・カフェ」(****)
■「愛と悔恨のカーニバル」(coming soon…?)
■Sex & Books & Football – 打海文三「裸者と裸者(上)・(下)」(****)
■Sex & Books & Football – 打海文三「一九七二年のレイニー・ラウ」(****)
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