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2005年6月15日のアーカイブ
倉橋由美子、死去(享年69歳)
- 2005 年 6 月 15 日 4:41 AM
- 妄想雑記
がーん。
■asahi.com: 作家倉橋由美子さん死去 「アマノン国往還記」で鏡花賞
デビュー作はまだ買える。
■パルタイ
伝説の名著は重版未定? 絶版? 追悼で再販してほしいところ。
■聖少女
小説読本も書いてたのかー。
■あたりまえのこと
しっかし…。
■未映子の純粋悲性批判: 倉橋由美子 第九感界彷徨
■未映子の純粋悲性批判: 倉橋由美子、その死と永劫完成
つくづく未映子は天才ですね、テラスゴス。
永沢光雄「声をなくして」(***)
- 4:01 AM
- 書籍一般
■声をなくして
出版社: 晶文社 ; ISBN: 4794966695 ; (2005/05)
永沢光雄のインタビュー文は、変わっている。とても。
一般にインタビューというものは、
A=インタビュイー(被取材者)
B=インタビュアー(取材者)
がいて、文章上は「Aのひとり語り」であるか、あるいは「AとBの掛け合い」のスタイルがとられる。
その中で、Bはあくまで黒子あるいはグレ子だ。
でも、永沢氏のそれは、Aの人生を引き合いに出しながら、常にBである自分がいかに怠惰で、酒ばかり飲んでいて、情けない男であるかが書き連ねられる。
Bの存在が、Aを「食ってしまう」ことも多い。
かといって、インタビューが成り立っていないのでは決してない。
AV女優であろうがスポーツマンであろうが、「対象A」を見る目はどんな相手であっても同じ目線で、そして優しい。
結果、読んでほっこりするようないい文章になっているのだな、うん。
さて、その永沢氏が下咽頭ガンを患った。
命はとりとめるも、手術で声帯を取り、声と嗅覚を失なう。
名インタビュアーが声をなくす。
そりゃないぜ、神様、だ。
加えて、うつ病、腸閉塞、高血圧があって、大量のクスリを飲んで生きている状態。
元来、働き者ではない(失礼)氏であるから、なんとなく起きて酒を飲んでテレビを見てまた寝て、外出は通院のときだけ。
奥さんの献身的な看護がなければ生きていけない。
――そんな日々が描かれる「闘病記」が本書なのだ。
いや、「闘病」なのかな?
とにかく出てくる言葉は泣き言、繰り言、言い訳…。
読んでいて、ちょっとゲンナリしてくること請け合いだ。
だいたい、この本をつくるきっかけが「編集者に頼まれて」で、そして毎日その編集者に日記をファックスするはずが書けなくて、あげくのはてには催促にたいして「金輪際しないでくれ」と返事したりするのである。
そして、まだ死にたくない、小説を残したい、でもまだ7行しか書いてない――の無限ループ。
とはいえ、こんな「情けない」闘病記こそ、永沢氏らしいと思った。
本人もこんなことを書いている。
★35歳を過ぎたあたりから、私はその文筆家を志す若者たちに蔓延しているノンフィクションなる書き方を、沢木耕太郎病と呼ぶようになった。
まずは、自分のことを書き、そして対象物との出会い、それらのもみあい、葛藤、やがて相互の理解、そして「じゃ」と片手を挙げて世間の雑踏に中に対象物は消えてゆく。
★そして私が沢木耕太郎に衝撃を受けてから20数年、多くの雑誌で見かける人物を対象としたノンフィクションなるもの、自分のことは役者としての「沢木耕太郎」として作品に登場させ、決して自分のことは一字たりとも書かないナルシストの沢木耕太郎にすっかり骨抜きにされ、やはり骨抜きにされた編集者に「こんなものでいいでしょう」となった。毒も何もない。単なる提灯記事である。
上手く言えないが、「ノンフィクション」と銘打たれた文章は、取材対象を通し、昼過ぎのアパートの中でオナニーをしている「自分」、深夜の居酒屋で恋人であった人間に酎ハイを頭からぶっかけられて、呆然としている「自分」を書く作業であると私は考えるのであるのだが、皆、自分を隠すようになり(編集者の命じるところでもあろう、誰もてめえのことなんか読みたくねえんだよという。違うんだけどなあ…取材相手を通して自分を書くということは、すなわち、そのときこそはじめて取材相手を表現することなのに…)、そろいもそろってお涙ちょうだい、情にすがるばかりの記事のオンパレードとなってしまった。
正直言うと、万人にオススメできる本ではない。
前述したようにとにかく「後ろ向き」な内容だし、日記といいながら他の雑誌で書いた文章の流用は多いし、同じことをダブって書いている部分も散見される。
言ってしまえば、むりやり本に仕立て上げた感もある。
だけどやっぱりページをめくる手は止まらないし、最後の「少し長いあとがき」なんて、もう、やるせないさが胸に染みる「ザ・永沢光男」な文章だ。
もっと、こんな文章が読みたいよね。
あと個人的に、ずんと心に響いたのは、大阪近鉄バファローズに関わる部分である(明るい奥さんの描写も好きだけど)。
私、近鉄ファンだったのです。
梨田監督から著者に届いたファックスの文面、そしてその前後の文章だけは、何度も何度も読み返してしまった。
※参考
■Sankei Web 読書 【著者に聞きたい】永沢光雄さん『声をなくして』(06/12 05:00)
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