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本多孝好「真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A/side-B」(*****)


真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A
真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A

真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B
真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B

出版社: 新潮社 ; ISBN: 4104716014 ; side‐A 巻 (2004/10/29)
出版社: 新潮社 ; ISBN: 4104716022 ; side‐B 巻 (2004/10/29)

死の痛み・生の苦しみ
まずは、アマゾンに「著者からのコメント」があったので、そこからはじめよう。

前作『FINE DAYS』から、一年七ヶ月ぶりの単行本となりました。
今回は、長編の恋愛小説です。
内容に関しては、著者としてはもう「読んでみてください」と言うしかないのですけど、
それでは話が終わってしまうので、一言紹介させていただきます。
これは恋愛関係でなく恋愛感情を書いたエンターテインメント小説です。
と言われても、わかりにくいですよね。
ええと、いわゆる「純愛もの」を期待されると、少し違った印象を受ける小説だと思います。
それを期待されている方には
「こういう恋愛小説はどうでしょう?」
と挑むつもりで書きました。
逆に
「純愛って、いや、ちょっと」
という方には、
「わかる。僕もそうだから。じゃ、これならどう?」
と、そう言いたい小説です。

小説を書くときはいつもそうなのですが、
今回もきっちりと構成を組んでから書き始めたわけではありません。
これを書いている間、
「これは本当にエンターテイメント小説として成立するのだろうか」
という迷いを常に抱えていました。
原稿用紙にして三百枚を越え、四百枚を越えても物語の終わり方が見えず、
「これが小説として成立しなかったら、次に本を出せるのはいったい何年後だろう」
と暗澹とすることもしばしばでした。
その原稿を自分としては納得のいく物語に仕上げることができて、
今はただただほっとしています。
今度は、この物語を読んでくれた方々がその中に何を描き上げてくれるのか、
著者としてとても楽しみにしています。


もういっちょ、新潮社の公式より。

これは恋愛小説です。
自分の書いた小説を含め、小説をジャンル分けすることにあまり意味があるとは思っていませんが、
それでもこの小説を誰かに紹介しようと思ったら、これは恋愛小説です、と言うしかないのでしょう。
ただ、いわゆる「純愛もの」を連想されてしまうと、
少し、いや、かなり違った印象を持つ小説だと思います。

恋愛とは何ぞや、などと語るつもりはありませんし、
それは人それぞれの形があっていいものだと思います。
ただ少なくとも僕にとっての恋愛とは、あるいはその中核を作っている感情とは、
穏やかで安らかでピュアなものであるというより、不安定で頼りない揺れのようなものです。
僕はその、不安定で頼りない揺れのようなものを、
恋愛関係の物語としてではなく、恋愛感情の物語として描きたかった。
と、今になってみればそうだったのかなと思います。
書いているときは、自分が何を書きたがっているのか、てんでわからなかったものですから。


で、本題。

個人的な話から始めさせてもらうと、本多孝好との出会いはデビュー作「MISSING」の単行本から。
ミッシング
ミッシング

偶然本屋で見かけたのだけど、こじゃれたカバーに「ジャケ買い」してしまった。
「小説推理新人賞」を受賞した「眠りの森」ほかが収録された短編集なのだけど、
ミステリ仕掛けの内容ではない。
不思議な読後感が残る一冊だった。

その後、ずっと追っかけてきてるのだけど、
本多作品の共通点としては次の3つがあると思う。

 (1)主人公がニヒリスト、優秀だが世間になじめない。
     その背景に、人の「死」があることが多い

 (2)かみ合っていないのに、後をひく会話
 (3)謎解きではないけど、ミステリ的な要素が入っている

今作は、著者が「恋愛小説」だと強調しているし、実際そう。
なんだけど、上の3ポイントはやっぱり生きている。
具体的にいうなら、

 (1)主人公は、同僚には疎まれているが、優秀な広告マン
 (2)主人公と恋人の会話とかに顕著
 (3)「5分後」という設定。双子のヒロインにまつわる話

今まで短編が多かった著者だが、上下巻のボリューム
(とはいっても、各巻薄いし、文字組もゆったりしている)
があると、読み応えがあってうれしい。

ちょっと感傷的すぎる、という声もあるかもしれないが、
某「セカ中」みたいなトゥーマッチなおセンチじゃないので、許せる。
つーか、感動する。

文句なしにおススメ。

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真夜中の五分前 [本多孝好]

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