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舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」(***)


好き好き大好き超愛してる。
好き好き大好き超愛してる。

出版社: 講談社 ; ISBN: 4062125684 ; (2004/08/07)

わかりにくさが純文学だとするならば、これほど純文学らしい純文学はないだろう。

なので、ちょっと解読してみた。物語は、
 1「智依子」
 2「柿緒I」
 3「佐々木妙子」
 4「柿緒II」
 5「ニオモ」
 6「柿緒III」

の6章に分かれてる。

メーンになってる「柿緒」ってのは、恋人・柿緒をガンで亡くした小説家のおハナシ。小説家は死が近づいた柿緒を横にしても、そして柿緒を亡くしても小説を書き続ける。でも、タイトルは『ラリアット・ポイント9 さよなら科学の今座ト(いまざと)先生』とかいうバカ小説だったりもするんだけど。

「智依子」ってのは、謎の虫(ASMA)に体を侵された女性と、その恋人とのハナシ。村上龍の「寄生虫」を思い出させる。
「佐々木妙子」ってのは、夢の世界に入り込んだ少年が名前も知らない女の子を好きになるハナシ。そのコはのちに、現実世界では、神隠しにあったように突然姿を消した佐々木妙子だとわかる。
「ニオモ」ってのは、戦場となった調布(戦う相手は神!)を舞台に、戦士として戦う男とそのパートナーである”人間兵器”ニオモとの間の恋愛のような結びつきを描くハナシ。

「柿緒」の章は、小説家が書いてる原稿がバカだったりするけど、世界観・設定は今オレたちが住んでいる世界でもあるようなストーリーだ。最愛の恋人を病で失う――そう、「世界の中心で愛を叫ぶ(ケモノ略)」みたいな「助けてくださ~い!」みたいな。それに対して、ほかの章3つは、現実世界ではありえない、SFチックな設定だ。

明示はされてないけれど、「智依子」「佐々木妙子」「ニオモ」は、「柿緒」の章の主人公である小説家が書いた小説なんじゃないか――と受け取った、個人的にね。同じく舞城著の『九十九十九』のようなメタメタな感じ。死に至る運命を背負った女性を愛するがゆえに、小説家は、自分たちカップルとまったく同じ状況の――この世界から消え去る運命をもったオンナを愛したオトコ、を書きつづけてるんじゃねぇのかなと。

そんでもって、「柿緒」の章の小説家、および他の章の主人公のオトコたちは、愛するオンナを失う運命だからこそ、恥ずかしげもなく「好き好き大好き超愛してる。(LOVE LOVE LOVE YOU I LOVE YOU)」なんだ――と、そう解読してみたんだが、どうか。

同時収録されている「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」は「ファウスト」Vol.1に掲載されてたもの。こっちのほうが、構造としてはわかりやすい。設定もマイジョウ度が高い。

ちなみに、表題作は芥川賞候補になったが、賞は与えられなかった(受賞したのは”ニガー”モブ・ノリオの『介護入門』)。ここまで熱く書いてきたけど、今まで全部読んできた舞城作品(書籍化されたもの)の中では、いちばんつまらなかった・退屈だったことを書き添えておこう。この作品で受賞しなくてよかったと思うよ。よっぽど『阿修羅ガール』のほうが好きっ!

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