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舞城王太郎「山ん中の獅見朋成雄」(****)


山ん中の獅見朋成雄
山ん中の獅見朋成雄

講談社 ; ISBN: 4062121131 ; (2003/10)

(内容に触れますので、未読の方、内容を知りたくない方は以下は見ないでくださいませ)

トンネルを走り続けるラスト、それが爽快すぎて、ハマりすぎていて、舞城作品の中ではいちばん読後感がよかった。

本当の名前を知らない女の子とともに人生を再スタートするためトンネルを駆け抜ける――そのためには主人公・成雄は脚が早くなくてはならない、森の中であろうが人を抱えていようが気にならないほどの超人的な脚力を有してなくてはならない――あたかも、彼が馬のように――だからこそ、成雄は鬣(たてがみ)をはやしてなくてはならない。

そうしたスピード感とはまったく正反対なものとは何か?――体の動きは少ない精神活動、空想上の産物――たとえば禅問答、たとえば書道・茶道といった芸術、たとえば芸術的に女性の体毛を剃る仕事、たとえば女体盛りで食べるものは美味しくなるのか? 死んだ人の肉を食べることは是が非か?という哲学的思索。

とまぁ、作品のモチーフを分析してみてもはじまらないのだけど、これまでの舞城作品の「圧倒的文圧」もなく、きわめて純文学的性格が強い作品。しばしば出てくる「擬音」だけがいかにも彼らしい。

で、「阿修羅ガール」に続いてまた「森=異世界」が舞台に出てきたけれど、やっぱりこれって村上春樹を意識してるよね!?

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